オランダ留学記とその後

2017年9月まで、オランダのグローニンゲン大学(RUG)へ留学していました。

2018年1月17日:研究発表、書評レポート

研究発表

今日は、研究発表の進捗状況を報告する機会があった。前日とかはなかなか気が重かったけど、レジュメを作成する過程でいろいろ整理されたので、やっぱり報告する機会は大事だなと。発表はそれなりに悪くなかったような気は一応してる。とりあえず現時点で進んでいるところまでを包み隠さず発表した。

発表後は色んな人が的確に指摘してくれたので、少し軌道修正することにした。ありがたい。いただいたアドバイスを活かして、これから研究がんばろう~って前向きな気持ちになれたのでよかった。

書評しんどい…

書評レポートの期限が迫っていて、ここ2・3日はろくに寝れなさそう。こんなことになりたくないと思って計画を早めに立ててみても、結局はこうなってしまった。一応、本を読みながら詳細なメモは作っておいたので、最終的にはなんとかなりそうではあるけど、やっぱり専門書2冊(日本語と英語一冊ずつ)はしんどい。

それと、金曜日には他の授業もあって、予習がほぼできない状態なのがつらい。なんとかはなるんだろうけども。

帰宅して8時くらいから4時間くらい寝た(現在夜中の2時)。さて、レポートしよう。

2018年1月16日:ブログの趣旨がちょっと変わります

ブログの趣旨が少し変わります

オランダに留学している間、といっても最初の半年くらい、わりと熱心にブログを書いていました。今思うと、一人でパソコンに向かう時間がめちゃくちゃ多かったからだと思います。半年くらい経って日常的に話す友達も増えてきたころ、段々更新が面倒になり、ブログは放置するようになってしまいました。

もう片方のブログでは、たまに映画系のブログを短く更新することはありましたが、日常をただ書くようなことはほとんどなくなっていました。そちらのブログとこちらのブログとの兼ね合いを考えるのも少し面倒だったし、こちらのブログも「留学記はもう書けないしな…」という理由で更新が億劫に。

ただ、就活もなんとなく始まり、あと大学院生活も1年を残すところ、といった最近になって、やっぱり日常系のことをだらだらと書くのも悪くないかな~と思い始めました。一人でパソコンに向かう時間も多くなったのもあります。あんまりTwitterしてもな…というのもあります。

まあそんなこんなで、これからはたまに気が向いたら(ノルマとかを課すとだるくなるので)、更新していこうかなと思います。これからはたぶんオランダのことはほとんど出てこないでしょうし、ただの大学院生の日常ブログになると思います。

 

発表、提出、テスト・・・

早速、明日は研究発表があり、その準備に追われています。厳しい授業なので気が重いのですが、とりあえず出来たところまででいいか…という消極的な姿勢です。

まあ、その時点まで出来たところをあまり恥ずかしがらずに出すのも大事なのかなと、半ば開き直り気味に発表しようかなと思っています。修士論文の第一稿の提出まで、あと10か月あると考えれば、この時点で確定してないのはまあ仕方ないような気もするので。といっても、10か月と書くと、あんまり時間がない感じもしますね、焦ってきました。

ただ、早く出来ているのに越したこともないわけで、準備は早めに進めていきたいと思っています。

 

最近、韓国語の勉強をけっこう熱心に進めていて、その様子もたまにレポートできればいいかなと。とりあえず、電車の中ではずっとNHKラジオ講座を聴いていますが、なかなか楽しいですね。講師の先生によって教え方が全然違うので、いろいろと勉強になります。

 

とりあえず、今週は明日(17日)の研究発表、金曜日(19日)に書評レポート(8000~16000字)の提出。来週は月曜日に、大学の授業(韓国語中級)のテスト。がんばりましょう。

 

韓国への短期留学:2017年8月

久々の更新です。

僕は2017年8月初めにオランダから日本へ帰国したのち、すぐにまた韓国へ短期留学にいきました。とても印象的な短期留学となったので、今回のエントリーはその時の様子をレポートします(もはやオランダ関係なくなりましたが)。

漢陽大学サマースクール

漢陽大学サマースクールは、2017年8月6日から同22日にかけて16日間の日程で行われた。ちなみに、漢陽大学はソウルのけっこういい場所にありました。

8月6日にソウルの仁川空港に集合したのち、すぐに大学に隣接する学生寮へと入居した。寮はドウミ(日本でいうチューター)の学生1人との相部屋である。

翌日には、ドウミたちの紹介を兼ねた歓迎会と、クラス分けのための簡単なテストが行われた。このテストをもとに、日本から来た学生たち75人は7クラスに分けられた。僕は6番目のクラスに振り分けられ、8日から早速、1日4時間にわたる韓国語の授業が始まった。


授業では、漢陽大学の国際言語部が作成した『한양 한국어(漢陽韓国語)2』がテキストとして使用された。テキストのレベルは初級~中級レベル。

「自己紹介」の項から始まり、「招待」、「旅行」、「趣味」、「学生生活」…と続いていく。韓国への留学生向けに作られたテキストなので、韓国で学生生活を送るうえで必要となる実践的な表現を学べるように作られていた。

先生はテキストを使いながらも、随時、ご自身で用意された副教材を使用して会話中心の授業を行っていた。学生は10人程度と少人数で、質問を気軽にできるアットホームな雰囲気であった。


授業は9時に始まり、昼の1時に終わる。

その後は、ドウミたちの用意してくれた「スペシャルチュータリング」や「韓国語チュータリング」が行われる。「スペシャルチュータリング」では、ドウミたちが「韓国の若者の恋愛事情」や「学生の飲み会文化」、「ソウルのおすすめスポット」等、くだけた内容について発表してくれた。発表では韓国語の教科書には出てこないような若者言葉・文化について知ることができた。

このように、現地の学生たちと近く触れ合えることは本プログラムの特色のひとつであろう。

ドウミ達は教室の中だけではなく、ソウルの街中をつかっていろいろなことを教えてくれた。韓国で流行っているヘアースタイルやファッション、音楽、地下鉄やバスの乗り方、安くて美味しい韓国料理、若者に大人気のかき氷、そして韓国流のお酒の飲み方まで。

僕はこれまでに何度も韓国へ行ったことはあるが、同年代のドウミ達から教えられる「韓国」はそれまでのどれとも違っていた。

そして、最も大切なこととして、今回のプログラムを通じて多くの友人ができた。僕はもっと彼ら・彼女らのことを知りたいと思ったし、韓国のことをもっと勉強したいと思った。

「韓国語を勉強するモチベーションが上がった」と言えばそれまでではあるが、モチベーションという言葉で片づけたくはない。また、「相手のことを理解したい」というのとも少し違う。「理解」という言葉を使った途端、相手を上から目線で解釈して理解した気になってしまうような感じがするし、なにより傲慢な響きがある。

やはりぼんやりとした言い方ではあるが、韓国語をもっと勉強して、韓国の友人たちともっと仲良くなって、韓国のことをもっと知りたい。一方的な思いかもしれないが、そのような思いを強くした韓国・ソウルでの16日間であった。

以上、ソウルへの短期留学記でした。 

帰国後

日本へ帰国した後、いくつかの韓国留学記を読んだ。自分の体験を整理したいと思ったからだ。

読んだのは、関川夏央『ソウルの練習問題』(初版1983年)と四方田犬彦『われらが「他者」なる韓国』(初版1987年)である。1980年代の韓国を目撃した著者たちの記述はどちらも非常に面白く、強く印象に残る本だった。残念ながらどちらも絶版になっているが、『ソウルの練習問題』はKindle版で読める。単に旅行記としても楽しく読めるので普通におススメです。

これらノンフィクション(あるいは評論)ものに加えて、自身の韓国留学を題材にしていくつかの小説を書いた李良枝(1955-1992)の作品もいくつか読んだ。まず、『刻』(初版1985年)を読んだ。主人公はやはり当時の韓国に留学している。小説自体が面白いのももちろんそうだけど、講談社文芸文庫版にあるリービ英雄の解説「李良枝という奇跡」は感動的であった。

それに加えて、1989年の芥川賞を受賞した『由煕』も読んだ。こちらもやはり、物語の主要人物は日本から韓国に留学してきた学生である。講談社文芸文庫で読めるので、ぜひ。

 四冊とも非常に面白い本だった。久しぶりに、自分の興味だけに従って自由に本を読めたのは楽しかった。オランダ留学中は英語の本や論文に追われる日々だったので…。

 

新装版 ソウルの練習問題 (集英社文庫)
 
 

 

われらが「他者」なる韓国 (平凡社ライブラリー)

われらが「他者」なる韓国 (平凡社ライブラリー)

  
刻 (講談社文芸文庫)

刻 (講談社文芸文庫)

 
由煕 ナビ・タリョン (講談社文芸文庫)

由煕 ナビ・タリョン (講談社文芸文庫)

 

 

 

オランダ国王の誕生祭

久しぶりの更新になってしまいました。あれも書きたいなとか考えながら、なかなか時間を確保できませんでした。

この2か月くらい、授業で課されたペーパーやプレゼンが一気にあったのでとても忙しかったです。やっとひと段落して…と思いましたが、これまでのはあくまで仮提出だったので、これからが大変です。

Integration ProcessというEU/ASEAN\の統合過程に関する授業で、6000‐7000Wordsのレポートがひとつ。Diplomacy in times of crisisという外交史/国際関係論の授業で、7000-8000Wordsのレポートがひとつ。あとは2500Wordsの研究計画書があります。研究計画書はすでに書いたうえでプレゼンも終えましたが、手厳しい評価をもらったのでこれから直さないといけません。なかなか大変です。

ここ2か月くらいのうちにオランダの国民的行事があったので、記憶に残っている限りちょっと書いていきたいと思います。

 

4月27日:King's day 

オランダ語では”Konigsdag”と言います。オランダ国王の誕生日ですね。前日の夜から、”King's night”といって前夜祭が行われています。まちの中心では、巨大なパーティーが行われていました。パーティーというか、フェスですね。

前日までは静かだった街の中心に、びっくりするくらいの大音響のフェスがいきなり現れたっていう感じです。本当にびっくりしましたね。日本的な感覚で言うと、近隣住民からの騒音の苦情とかないんだろうか…とか考えてしまいました。この話を友達としていると、「街の中心は騒音込みで家賃が安い」んだそうです。納得。

4月26日の夜は友だちとそのフェスを見に行きました。音楽は全然知らないものだらけでしたが、ビールを飲みながら外で音楽を聴けるというだけでいい気持ちになりましたね。いいもんです。

次の日、4月27日はいよいよお祭りの日。お昼くらいから街中でビールを飲んでる人々で溢れかえっていました。

それと、Kind's dayといえばフリーマーケットが有名らしく、ストリートのフリーマーケットが並んでいました。ただ、一通り見た限りではいいものが全然見つからず…はっきり言ってガラクタばかりだなという印象でした。商売するってよりは、家にあった本当にいらないものを持ってきてる感じ。一応期待してましたが、ここだけはちょっと期待外れでしたね。

この日は街の中心に行って、ビール片手に友だちとぶらぶら歩いてました。こうやって堂々と野外でビールを飲めるのはいいもんです。もちろん、お祭りの日に限ったわけではなく、いつでも野外でビールをためらいなく飲めるのはオランダのいいところかなと思ってます。

以上、King's dayの思い出でした。次回は、Commemoration day(慰霊の日)について書きたいと思います。

オランダの政治について(1)

かなり久しぶりの更新です。この2か月間かなり勉強がしんどくて、ゆっくりブログを書く時間がなかなか取れませんでした。これを書いている今もすごく忙しいですが、オランダの選挙が終わった直前でオランダ人の友達や教授から聞いた話を書き残しておこうと思い急いで書きました。といってもうまくまとめきれなかったので、「オランダ政治について(1)」ということで、とりあえず公開しておきます。

政治好きなオランダ人

オランダ人は政治の話が好きだ。それはもちろん、僕の周りにいるオランダ人の友達が国際政治を専攻しているからだともいえるし、よくお話しするオランダ人の教授たちが政治学を教えているからだともいえる。でも、やっぱり日本と比べて圧倒的に関心が高いように感じる。

日本だと政治談議はなんとなく忌避されるし、避けたほうがいい話題として考えられてるのは間違いないだろう。僕は日本でもよく友達と政治について話していたが、オランダほどフランクに話せるような環境にはなかったかもしれないと思う。

他のヨーロッパの国に留学していたあるオランダ人の友達は、その国ではあまり政治談議ができずフラストレーションが溜まったそうで、オランダに帰国するなり政治の話を友達としたそうだ。政治の話がしたくてたまらなかったらしい。

オランダ人の友人たちを見ていると、授業前後に喧々諤々の政治談議をしている。「誰に投票したのか」もあまり隠さない雰囲気だ。どこの党の政策がどうだとか突っ込んだ話もしている。それこそ、米大統領選後の授業では騒然とした雰囲気のなか1時間まるまるトランプの話をした。皆が衝撃を受けていて、話さずにはいられないという感じだった。僕が「日本ではこういう議論がされている」と少し紹介すると身を乗り出して聞いてくれた。やはり関心の高さを感じた。

オランダの選挙が注目された理由:ポピュリズム台頭の試金石

去る3月半ば、オランダで総選挙が行われた。今回の選挙は世界から注目されていた。理由は簡単で、「ヨーロッパでポピュリズムが台頭するのか?」の試金石とされていたからだ。

去年、英国がEUから離脱するいわゆるブレグジットがあった。そしてもちろん、アメリカ大統領選では反移民・反エスタブリッシュメント・反ポリティカルコレクトネス…等々、既成政治からは全く異端の政策を掲げた大富豪ドナルド・トランプが当選した。

英米におけるこれらの政治現象は「ポピュリズムの台頭」と言われた。

そして、その風潮が伝播するように、ヨーロッパ各地での世論調査では反移民・反EU政策を掲げたポピュリズム政党の躍進が報告された。

2017年はオランダ(3月)、フランス(大統領選4月、議会選挙6月)、ドイツ(連邦議会選挙8月~10月)で選挙がある。2017年のヨーロッパにおける議会選挙の一発目がオランダで行われた。そのため、「ポピュリズムが台頭するのか?」の第一回目のテストのように目されていた。

自由党党首・ウィルダース

このような背景に加えて、自由党を率いたヘルト・ウィルダースが注目されていた。彼は反イスラムの主張を掲げ、「コーラン禁止」や「モスクの閉鎖」を唱えていた。選挙前に行われた世論調査ではトップ争いを演じており、選挙で勝った暁には「英国のようにEU離脱を問う国民投票に持ち込みたい」と息巻いていた。以下にウィルダースのインタビューを引用する。主張の是非は措くが、反イスラムと反移民感情の雰囲気をよく伝えているだろう。

毎日仕事に出かけ、あるいは子育てに追われる「普通の人々」の声を、古い政治は代表できなくなっています。いま世界で起きているのは「愛国の春」。人々はもはや、EUのように国家を超えた存在を欲してはいません。

オランダを含む欧州の国々では緊縮政策で年金や公的医療が削られ、ギリシャに何十億ユーロもローンを提供している。その一方で、域外からも価値観の異なる大量の移民が流れ込む。人々は国家のアイデンティティーや主権が損なわれているだけでなく、日々の安全が脅かされていると感じています。

私たちが移民に厳しいのは二つ理由があります。一つは移民があまり働かず、経済に貢献していないということ。イスラム圏などから来る移民に、オランダの納税者は毎年72億ユーロ(約8200億円)使わなければならないという調査がある。もう一つは、人々に自由を認めないイスラムは、オランダの価値観と相いれないということです。

右翼とか左翼とかは古い政治の言葉です。私の党は、移民政策や文化的には右派に見えるかもしれません。一方で、公的医療を充実させ、年金を守り、高齢者福祉を拡大すべきだという左派的な主張もあります。普通の人のための政策です。

私はポピュリストだと言われます。ネガティブな含みのある言葉ですが、もしその言葉が人々の抱える深刻な問題に耳を傾けていることを指すなら、私はそれを侮辱だとは思いません。

自由貿易に私は賛成だし、グローバル化が悪いとはいわない。ただ、貿易協定はEUではなくて、国ごとの政府の意思で結ばれるべきです。私たちは自分の国を取り戻さなければなりません。

[Part2]格差縮めてもダメ?/オランダ -- 行き詰まる政策 -- 朝日新聞GLOBE

「その調査は正確か?」とか「普通の人ってだれだ?」とかいろいろ疑問がわいてくる。ポピュリストと呼ばれることを必ずしも否定的に感じていない点や、多国間ではなく二国間での関係を好む面なども興味深い。

ただ、このインタビューでで特に注目されるのは「オランダの価値観と相いれない」から移民は受け入れられないという主張が展開されていることだ。ここでいう「オランダの価値観」とは、同性婚が合法化され、大麻、売春、安楽死も合法化されている価値観のことをいうのだろう。いわば「超リベラル」な価値観であるが、その「リベラルな価値観に沿わないから移民を排斥する」というロジックである。

啓蒙主義的排外主義」

この主張に関して、オランダ政治史を専門とする水島治郎は「啓蒙主義的排外主義」と呼んでいた(http://www.tbsradio.jp/128852)。単なる移民排斥ではないところが難しい。以下の引用文を読むと、なぜリベラルなオランダで移民排斥の主張が受け入れられたか理解できるだろう。

外国人排除や移民批判といえば、オランダの政策転換は、いわゆる排外主義から来る暴力的なものをイメージしがちですが、そういうのでもないのです。いまのオランダの反移民政党制度は、良くも悪くもクリーンなところがありで、だからこそ問題でもあります。

つまり、彼らはデモクラシーを否定するわけではない。彼らの主張はこうです。「ヨーロッパの培ってきた啓蒙主義的な価値や民主主義、人権を守るべきある。しかし、これを脅かすのがイスラムだ。彼らは政教分離を認めない。男尊女卑で女性にスカーフを強いる。同性愛の権利を認めない。こんなイスラムを認めていいのか」。これにはネオナチに対して「冗談ではない」と反対していた人も頷いてしまう。

これが現在浮上しているヨーロッパのポピュリズムや既成政党の反移民的スタンスの背景にあります。それが怖いところであり手強いところなのは、中道的な政党は既にこういった主張を事実上ほとんど共有しているからです。

#317 オランダの光と影:寛容と排除は何によってもたらされたか? - 水島 治郎さん(千葉大学法経学部教授) | mammo.tv

ヨーロッパの培ってきた啓蒙主義的な価値や民主主義、人権」。これら「リベラルな価値観」の根源には「寛容の精神」がある。この観点からイスラムの主張を見ると、それは「不寛容」なものに映ってしまう。では、「不寛容であるイスラム」に対して、「寛容」であるべきか「不寛容」であるべきか。「不寛容な価値観」を許してしまうと、自らの「リベラルな価値観」を揺るがしかねない。「不寛容」に対しては「不寛容」、つまり「不寛容なイスラム」を排斥する。このようなロジックだと思います。

 

選挙結果は…

では、今回のオランダ総選挙の結果はどのようなものだったのだろうか。

以下が選挙結果である。

オランダ総選挙(定数150)の投開票が15日、行われた。出口調査によると、ルッテ首相率いる中道右派自由民主党が31議席現有議席40)を獲得し、第1党を維持する見通しとなった。反移民や反欧州連合(EU)を掲げ、世論調査で一時は首位だった右翼自由党(同15)は他の2党と並ぶ19議席だった。

 自由党ウィルダース党首は「オランダのトランプ」と呼ばれ、「自国第一主義」を掲げる。今回の総選挙は、ポピュリスト政党の躍進が予想される仏大統領選や独総選挙の行方を占う試金石とされていた。

 投票率は前回2012年の74・6%を上回る81%。公共放送NOSが15日午後9時半に発表した出口調査によると、自民党と連立を組む労働党は9議席(同35)にとどまり、惨敗の見通しだ。キリスト教民主勢力(同13)と民主66(同12)がともに自由党と並ぶ19議席を得た。(ハーグ=吉田美智子)

オランダ総選挙、右翼政党首位届かず 与党が第一党維持:朝日新聞デジタル

結果的に、自由党が第一党を獲得することはなかった。他党は「自由党とは連立を組まない」と明言しており、連立内閣に入ることはないだろう。自由党以外の各党がこれから連立協議を本格化させるようだ。

 

ちなみに、オランダの選挙制度は完全比例代表制であり、とくに近年は多党乱立の傾向にあるという。

ワンイシューを掲げた小政党もいくつかあり、例えば「動物党(Party for animals)」は5議席(全150議席)を獲得していた。完全比例代表制のオランダでは、動物党にも政権入りのチャンスが十分にあり、そうなれば動物の権利保護が進むかもしれない。

次回予告

オランダの選挙についてのフォーリンアフェアーズの記事を読んだ。

What Is the Future of Dutch Democracy? | Foreign Affairs

この記事はとてもよくまとまっていた。オランダ人の友達に読んでもらったが、とても好評で「送ってくれてありがとう」と感謝されたものだ。

ただ、リンク先の元記事を読むには有料の会員登録が必要なので、次回はこの記事の内容を紹介したいと思います。そして、友達や教授との会話を思い出しながらもう少しきちんとまとめたいです。

 

こんな記事も書いています

 

nllife.hatenablog.com

 こちらの記事でも似たようなテーマを扱いました。

 

留学165日目:スラングを使うと面白い

2016年9月からオランダに留学しています。今回は英語のスラング(俗語)について。

 

スラングを覚えた

個人的に、語学を覚えるときに楽しいことって、スラングを覚えることだと思うんですよね。

韓国語を勉強していたときも、韓国人の友達からいろんな俗語を教えてもらったのが印象に残っている。いまでも覚えていたりするくらい。

寮で一緒に住んでる友達は、みんな英語のネイティブスピーカーではないけど、ほとんどネイティブと言えるくらい英語がうまい。「どうやって勉強したの?」って、ついつい驚いてしまう。

ある時、イラン人の友達に質問すると、「英語のオーディオブック(本を朗読したCD)をずっと聞いてたよ」「あとは、インターネット世代だから、映画とかドラマとかをネットで見るうちにできるようになったな」ということでした。

寮の友達同士の会話では、スラングが飛びあってて、お互いに言い合って笑っている。

初めは、「よく意味わかんないな」とか思って眺めてたけど、やっぱり意味は知りたいと思い、その都度質問するようになった。あと、”Urban Dictionary”という、スラングとか俗語がたくさん載ってるネット辞典を教えてもらった。

そこでいろいろ調べるうちに、以下のページにたどり着いた。

最近使われる10個のヒップホップワード! | Listn.me

ここではあえて書かないが、リンク先にあるような言葉を自分で使ってみると、友達にすごくウケた。控えめに言っても爆笑されるので、ついつい嬉しくなってしまい連呼している。

 

スラングを使う面白さ

それまで当たり障りのない(?)英語ばかりを話していた奴が、いきなり俗っぽい話し方をしたり言葉を使ったりするから面白いんだと思う。

例えば、僕は大阪出身だけど、外国人の友達がコテコテの大阪弁を使っているのを聞いたりすると、なんだか面白く感じてしまう。

コテコテの言葉、あるいはスラングと本人とのギャップに面白さを感じるわけだが、この面白さには驚きも入っている。「よくそんな言葉知ってるな!」という。

 

これはちょっとまた別の話にはなるかもしれないが、少し思い出話を。

昔、『愛・地球博』に行ったことがある。しかも行った日は閉園の前日で、やたら混み合っていた。僕はなぜか、混沌としたお土産市場が立ち並ぶインド館の魅力に取り憑かれてしまい、2時間くらいあてもなくインドのマーケットを模したパビリオンを彷徨っていた。

面白かったのが、お土産品を売るインド人たちが「ヤブレカブレ、ヤブレカブレ」と連呼してしていたことだ。初めは「インドの言葉なのか?」と不思議に思って聞いていたが、途中でその意味に気がついた。そう、明日が閉園だから、「破れかぶれ」になって土産物を売りさばいていたのだ。おそらく日本人の誰かが教えたのだろう。20件は立ち並んでいた土産物屋の店主たちが叫んでおり、その現場は異様な熱気に包まれていた。

「ヤブレカブレ」の意味に気がついてから、なんだかすごく面白くなって笑いがこらえきれなくなってしまった。小6の自分は「破れかぶれ、ヤブレカブレ」と笑って真似して連呼しながら、混沌としきったインド館を練り歩いた。ついでに、象の置物を値切り交渉をして購入した。僕は「100円しかないんだ」と見せながら言うと、インド人の店主に渋い顔をされ、200円の値がついていた象を無造作に手渡された。その象は、いまでも家に飾ってある。

話をもとに戻す。

おそらく、習いたてのスラングを嬉々として連呼している自分は、「ヤブレカブレ」を連呼していた『愛・地球博』のインド人のように、なんだか笑いを誘っているのだと思う(自分で改めて書くとバカみたいで恥ずかしいけど)。僕が使いどころを間違ってる時もあるだろうし、とにかく、ある単語を連呼するのは変だ。

寮の友達の前で、英語のスラングを使った時に爆笑されるのは、こういう感じの理由じゃないかなと思う。

 

お酒と言語

あと、先週はパーティーがあったのだが、お酒に酔ったついでに、またいろんなスラングを教えてもらった。ひどい言葉も多かったけど、面白いスラングを教えてもらった。

ちょっと話はそれるが、お酒に酔った時は恥ずかしさがなくなり、英語もペラペラ話せている気がする。間違いも気にしなくなるし、自意識みたいなのが薄れていって、ふわ~っと話せる気分になる。あんまりうまく書けないけど。

 

とにかく、スラングはいろんなニュアンスを短いワードに含んでいるので、文化の違いを感じることができたり、言葉の面白さを知ることができると思う。そして笑いが取れる。

最近だと、トランプ政権下でできた”Alternative facts"(もう一つの事実)なんかが人気。あとは”Fake News"(噓ニュース)とか、”Post Truth"(ポスト真実)とか。こういうワードをうまいところで言うと、いいジョークとして機能する。

スラングが面白いなあと思うのは、こういう流行り廃りがあるところ。新しい言葉がネット上やメディアの世界でもどんどん生み出されるので、最近は、そういう言葉を知るために英語でニュースを追っかけたりしている。いいモチベーションになっているので、これからも続けていきたい。

 

こんな記事も書いています 

nllife.hatenablog.com

 いろんなコミュニケーションの仕方があります。

【メモ】欧州政治について

2016年8月末からオランダに留学しています。

今回は、混乱の深まっている欧州政治、あるいは「ポピュリズム」について扱った新聞記事を、軽くメモ程度に紹介したいと思います。

専門外ではありますが、留学しているということもあり、やはり関心はあります。

EUの機能不全

EUの機能不全、問題は何か 遠藤乾・北大教授に聞く:朝日新聞デジタル

北海道大学教授の遠藤乾さんへのロングインタビューです。

EUの現在の危機は「複合的」であり、連動しているものだとしています。

具体的には「難民、テロ、ポピュリズムの関係」を挙げ、「難民が流入し、中にテロリストが交じり、それを糾弾する勢力(引用者注:ポピュリズム)が伸長するわけです。」と解説されています。

難民危機自体はEUがつくったものではありません。ですが、完全にEU側の準備不足で、EU内外の境界での警備ができておらず、(欧州の移動の自由を保障する)シェンゲン協定が機能不全に陥った。具体的には難民危機に乗じて紛れたテロリストを捕捉できておらず、各国間の連携も十分に機能していない。こうした機能不全が「もっと国境を管理しろ」という声と、排外主義的なポピュリズムの台頭につながっています。

というわけです。

 

「自分たちの国の事は、自分たちで決める」ことはできるのか?

このインタビューの中で最も興味深かったのは、果たして「主権を取り戻す」と叫んだところで、それは可能なのか、という問いです。

遠藤氏は、「主権」という概念は潜在的にしか存在せず、例外的な状況や国民投票の結果としてしか現れないといいます。

来はかなり法的な概念で、実際にみずから制御できる能力を意味する社会学的な「自律」という概念とは違う。混同してはいけません。

つまり、「主権を取り戻す」ことは「自律的に振舞うことができるようになる」というわけではない、ということです。いや、そもそも「主権を取り戻す」というのは空虚なシュプレヒコールに過ぎないのではないか。果たしてそんなことは可能なのか、いやおそらく不可能だ。

よく混同されると思いますが、この点はとても重要だなと思いました。そもそも、自律的に振舞ってみたところで、何がおきるかというと、「英国の国民投票後の混乱を見ればわかるでしょう」というのが遠藤氏の言っていることだと思います。分かりやすいですね。

それと同時に、経済的な相互依存がかつてないほど広がる中、「ナショナルアイデンティティーに回帰しても解決にならない」とも言われています。これはまさにそうで、なんとか野放図なグローバル化を少しでも抑制したり、各国になるべく広く平等で公正なルールを作ろうとしてきたのがEUでした。内向きになったところで変わらないわけです。

これは例えば、TPP(環太平洋経済連携協定)を考えてみてもいいです。「国家」というレベルを超えて、なるべく広い地域で公正なルールを作ろうとした、とも捉えられるのではないでしょうか。

グローバル化は止められないしレベルで進行しているので、内向きにならず、なるべく広い領域で各国が手を取り合って制御しなければいけない」というのが大体の本記事の結論かと思いますが、現実には「内向き」で「主権を取り戻そう」と煽る「ポピュリズム」が蔓延してしまった、ということかなと思います。

 

ポピュリズム

ブレグジット(英国のEU離脱)とトランプ大統領の当選以後、「ポピュリズム」という言葉が、現在ではすっかりバズワードになってしまい、何にでも使われてしまいよくわからないですよね。「ポピュリズム」と言っておけば何か現在の政治状況を評した気になってしまう、というのもあると思います。

ただ、僕自身は「ポピュリズム」という言葉自体にすこし違和感があって、レッテルを貼ること自体にあまり意味はないと思っています。

Listening:<論点>ポピュリズムと排外主義 - 毎日新聞

そんな中で、岩間陽子・政策研究大学院大教授のインタビューが興味深かったです。

ブレグジットやトランプ氏当選などの政治現象は、国民の一定数の不満をエリート層が認識できなかったことへの抗議だったといえる。ポピュリズムという言葉にはネガティブなニュアンスがつきまとうが、民主主義である以上、人々が大きな不満を抱けばそれを表明するのは当然であり、ポピュリズムというレッテルを貼るだけでは問題の本質を見誤る。

本当にその通りだと思います。

このインタビューが特に興味深かったのは、「ポピュリスト側はたいてい後ろ向きのアジェンダしか設定できておらず、移民を締め出して自由貿易をやめれば国内に製造業と雇用が戻ってくるかのような幻想を与えているにすぎない」と言いつつも、

「既存の政治エリート」への不信感は根強いことを強調し、「単に排外主義に反対するということではなく、危機の根源を見つめ、どんな解決策があるのか真剣に考えねばならない」と言っているところです。

そして、

欧州では社会変化への不安やテロへの恐怖心が強く、排外主義が政党政治の中の確固たるファクターになってしまった。こうした状況では、政治的な対策としては、移民が入るスピードをいったん緩め、社会が落ち着くのを待つしかない。

と結論付けているところ。とてもバランスのとれたインタビューで、興味深く読みました。

 

一応、ポピュリズムの定義自体については、

ポピュリズムは既成権力の支配を人民が打破しようとする急進的な改革の動きを指す。下が上を突き上げる運動で、欧州で目立つ右派の主張だけでなく、米大統領選での民主党サンダース氏のような左派的な動きも含む。社会の物言わぬ多数派に発言の機会を与える面もあり、それ自体は民主主義のあるべき姿だ。半面、予測不能で独裁を生みかねない危うさがつきまとう。

ニュースサイトで読む: http://mainichi.jp/articles/20170122/ddm/041/030/120000c#csidx61ccc4a30448b9685cf3653985db434
Copyright 毎日新聞

この理解でよいかと思います。

 

 

今年、オランダでは総選挙があります。ドイツでも総選挙があり、フランスでは大統領選があります。

そんななか、オランダの総選挙に関するニュースで信じがたいものがありました。

 

オランダ首相の意見広告

「いやなら出ていけ」 オランダ首相が意見広告 反移民ムード背景か - BBCニュース

オランダのマルク・ルッテ首相が、国の価値観を否定するなら「出ていけ」と主張する意見広告が23日付で、同国の新聞各紙に掲載された。広告は、台頭する反移民政党に対抗するためだとみられている。

オランダでは、ルト・ウィルダース氏が率いる極右政党・自由党(PVV)が勢力を伸ばしていますが、それに対抗するため、だということです。もっというと、支持を取り込もうとしたため、自らも「移民排斥」のメッセージを伝えたということでしょう。

バス運転手の職に応募した移民男性が女性と握手を拒んだために就職できなかったという事例を取り上げた。この大手バス会社は国内の人権機関に批判されたが、首相はバス会社を擁護した。

「実に奇妙な批判だ」と首相は述べ、「会社がもちろん正しい。『私の宗教信条にそぐわないので女性と握手できない』と運転手が言うなど、認められないはずだ」と述べた。

「私を含めて大勢が反発しているのは、まさにこのようなことだ。なぜならここでは、お互い握手をするというのが社会の規範だからだ」

ルッテ首相はさらに、公共交通機関や街中で反社会的な行動がみられると批判。なかでも特に、オランダの価値観を受け入れず、短いスカートをはいた女性や同性愛の男性にいやがらせをしたり、普通の人を人種差別主義者だとレッテルを貼ることを取り上げて非難した。

オランダは大麻がいち早く解禁され、同性婚を認める法律を世界で初めて導入し、売春も合法化され、安楽死も認められている国です。非常にリベラルな国、といって間違いないでしょう。

そのオランダで、総選挙が近づくにつれ、かなり極端に排外主義的な主張をする「オランダのトランプ」と呼ばれるヴィルダース氏率いる自由党が勢力を伸ばしているわけですが、

とうとう、その流れに引っ張られてしまい、オランダの首相がこのような発言をするに至った、ということです。

BBCのニュースでも批判的に取り上げられていましたし、今後どのような展開になっていくかわかりませんが、

オランダでも「ポピュリズム」や「移民排斥」の機運が出てきているニュースだと捉えていいと思います。

オランダ特有の事情

[Part2]格差縮めてもダメ?/オランダ -- 行き詰まる政策 -- 朝日新聞GLOBE

オランダでは2002年の総選挙の際、著名コラムニストが作った新党がイスラム移民問題を取り上げて躍進し、そのコラムニスト本人が選挙直前に暗殺されるという事件がありました。

それを機に、オランダでは移民が入国する前にオランダ語の試験を課されるなど、規制が強まりました。極右のウィルダースが現在台頭している背景にはこのような歴史があったようです。

それに加え、以下のような事情も関係しているようです。

 オランダ政府は1990年代以降、グローバル化に対応するためとして、福祉国家の改革に乗り出した。失業給付などの条件を厳しくし、受給者には求職活動や職業訓練を求めた。世論が移民に厳しくなった背景の一つに、「オランダ人が汗水たらして作り上げてきた福祉国家が揺らいでいるのに、移民にただ乗りされてはかなわないという感情があるのではないか」アムステルダム大学の政治学者、トム・ファン・デル・メールは言う。やっかいなのは、安全網を充実させ、格差を縮めるような政策が、ここでは解決策になりにくいことだ。

オランダは高度に福祉国家化が進展した国として知られていますが、

それを移民にフリーライド(ただ乗り)されて、さらに揺らいでしまうのはたまらない、という感情があるのだという解説です。

これがどこまで実際にそうなのかは分かりませんが、とりあえず極右政党の台頭の背景について納得できる説明ではありました。

 

以上、引用多めの記事でした。とりあえずは、自分の頭の整理になりました。

たまには、このように報道をまとめるような形の記事も書いていきたいと思います。