オランダ留学記とその後

2017年9月まで、オランダのグローニンゲン大学(RUG)へ留学していました。

海外で中国人だと思われたとき、どう返答するか

先日、ケバブ屋(週1で通っている)でケバブを食べていると、順番待ちをしていた20代半ばくらいの女性にいきなり、"Hello, China town"と言われた。初めはその発言が理解できず、「ん?こいつはジャックニコルソン主演の映画『チャイナタウン』の話でもしてるのか?」とか考えてしまい少し混乱した。

もちろん彼女は名作映画の話をしたいわけではなかった。ニヤついたその顔を見て、「ああ、バカにしてきてるんだ。こちらを中国人だと思って差別したんだな」と察知した。

 

それに気付いたとき、どうしようもなく腹立ったが、そのまま否定して「中国人ではない、自分は日本から来た」というのもなんとなく憚られた。言葉が出なくなり、しばし相手を睨みつけた。「中国人ではない」と否定してみせるのも、差別の再生産のような気がしたのだ。否定するだけであれば、「中国人であれば差別されても仕方ない」と暗に認めることにはならないか。「中国人ではない」と否定するだけでは不十分で、「自分は中国人ではないが、中国人への差別は許さないぞ」まで言えたら完璧だったかな。まあ、そんなことすぐに言えるものではなく、喉の奥に何か詰まったように言葉が出てこなかったのが現実だ。

なんなら中国語(少しできる)で文句言ってもよかったなとも思ったが、あいにく、口をついて出るような文句は知らなかった。

 

結局、一緒にいた友達が「日本から来た」と説明してくれて、そいつは不服そうな顔で押し黙った。その後でも、やはりなんか言ってやろうかと思ったが、何も言わなかった。正確にいうと、何も言えなかった。

 

オランダで、中国人や台湾人の友達が何人かできた。みんなとても良いやつだ。僕が拙い中国語で自己紹介をすると、「とても発音がいいよ!」なんて言って褒めてくれる。学部生時代に途中で勉強をやめてしまったとはいえ、少しでも中国語を話せば掴みがいいし、会話はスムーズに始められる。今になって、中途半端な形にはなってしまっても、とりあえず勉強しておいてよかったと思う。

いま考えるのは、もし中国人や台湾人の友達と一緒にいるときにこういうことがあったら、自分はどのように行動すべきかということ。その時は、彼らの代わりに言い返さないといけないなと思う。そんな場面に遭遇したくないが、一応心の準備として。

今回はオランダだったが、以前ベルギーに行ったときも似たようなことがあった。友達と歩いていた自分を見るなり、「チナ、チナ」と言われた。ムカついたので、日本語で「馬鹿にすんな」と文句を言った。相手はニヤニヤしながらその場を去った。

 

間違われたからといって腹が立つわけではない

一応付け加えると、お店に入ったときに「ニーハオ」と言われれば「ニーハオ」と返している。訂正するのも面倒だし。帰るときには「再見!」とも言う。その仕方で間違われても腹は立たないし、間違えてるにせよ好意は感じるから、なんなら少し嬉しい。向こうからしたら相手の言葉で挨拶をしようとしてるわけで、気遣いは感じるからだ。

そうやって間違われることにいちいち腹を立てたりはしない。割合として多いから仕方ないんだと思うし、見分けがつかないんだろう。それはそれで失礼な話ではあるが。

 

ジャッキーの国か?


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そういえば、「日本から来た」と自己紹介した時に「ジャッキー・チェンか?」と言われ、その質問には「イェスイェスイェス!」と答えた。ジャッキーに間違われるのは光栄だ。というか、人格形成に影響及ぼしてるし(小さい頃に『レッド・ブロンクス』と『酔拳』を繰り返し見た)、やはりあの質問にはイェスだった。