差別的(?)な「偏見ジョーク」がオランダで人気な理由
今年の9月からオランダに留学しています。
今回は、こちらオランダで人気のジョークについて考えたいと思います。
題名は「オランダ」としましたが、「国際社会」と言い換えても、割と通用するかなとは思います。
一応初めに書いておくと、オランダ人が差別的だとかそういうことを書こうとしているのでは全くありません。
オランダに来て、大学のオランダ人の友達や、寮で共に生活する友だちと話していて、
それだけ聞くと差別的な「偏見ジョーク」あるいは「ステレオタイプなジョーク」がやたら多いことに気づきました。
その理由について書いていきます。
寮で人気の「鉄板ネタ」
僕が住んでる寮は本当に国際色豊かで、この前ふとキッチンにいる人を数えてみたら、15人中14人が違う国から来ていました。
そんな国際色豊かな寮の中では、いわゆる「鉄板ネタ」があります。
その「鉄板ネタ」とは「人種」や「民族」に関するジョーク。
あえて偏見に満ちた言動をしたりジョークを飛ばすことで、「You're a racist!(お前レイシストやん!)」と言って笑い合います。
価値観の共有と、その確認
このジョークは、「多様性を認めること」とか「差別はいけないよね」という価値観を、お互いに共有しているからこそ可能なんだと理解していたが、
最近新たにその意味を考えていました。みんなやけに好きだから。
僕が最近思いついたのは、この種のステレオタイプなレイシストネタは、互いにそれらの価値観を確認する行為なのではないか、ということです。
あえて「イタリア人はこうだよね」とか面白おかしくモノマネしてみたり、
それに対して'You're a racist!'とツッコミを入れるのは、
そのようなステレオタイプをバカバカしいものとしてお互いに笑っているからこそ可能です。
トランプはある意味「大人気」
この意味で、こちらオランダではドナルド・トランプは「大人気」。
寮の中でも、トランプとヒラリーの演説は一大コンテンツで、みんな話題にしています。
「またあのトランプが馬鹿なことを言ったよ!」てな感じ。
これも、「トランプの発言は許せない」という大前提があって
そんなことは当たり前だからこそ、直接反対したり抗議したりするのではなく
ジョークとして笑うことで馬鹿にしようという態度です。
価値観の共有を常に互いに確認する
そして、これらのステレオタイプジョークは、
ある種のリベラルな価値観(「差別よくない」「多様性だいじ」)を共有していることを互いに確認する意味があるのではないか、と最近考えています。
価値観の共有が大前提になっているため、共有していないと笑うことができません。
そのジョークを言えること、ツッコミを入れられること、笑えることは、それ自体が価値観の共有を意味しています。
常に「ジョークを笑えること」を確認し、お互いに価値観を確認する。
そんな意味があるのではと最近考えています。
これからさらに深めて考えていきたいですね。
以前、こういう記事も書きました。この手の話題について考えることが多いです。