『ブリジット・ジョーンズ』最新作をオランダで見ました
今年の8月末からオランダに留学しています。
今回は、現地で見た最新映画について書きます。
日本ではまだ未公開の、「ブリジット・ジョーンズ」シリーズ最新作
『Bridget Jones's baby 』(邦題:ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期)を見てきました。
それにしても変な邦題ですね。
そのまま『ブリジット・ジョーンズの赤ちゃん』とかでいいのでは。
ホラー映画みたいなタイトルになっちゃいますが。
『ローズマリーの赤ちゃん』的な。
以下、内容はそこそこに、映画館の様子を書いてみます。ネタバレなしでいきます。
ストーリー
日本版の予告編を見ていて驚いたのですが、決定的な要素が隠されていますね。
英語版では普通にそのことが中心のトレイラーなのに…。理由はよくわかりませんが、とりあえずここでは書かないでおきます。
内容のことをもっと書きたいのですが、ネタバレをしたいと何も書けないのですね。
とてもモヤモヤしますが…興味のある方は、英語版の予告編を見てください。
一応簡単にストーリーを書いておくと…
43歳になったブリジット・ジョーンズは、仕事はうまくいってるものの、恋愛はさっぱり。
誕生日でも、ひとり寂しく過ごしている。
そんな時、友人に連れられていったコンサート会場で、イケメン・ダンディなIT企業社長ジャックに出会う。
途端にジャックに夢中になってしまう。
一方、同時期に旧友のマークとも再開する。
マークにはもともと妻がいたが、現在は離婚協議中だ。
マークとの再会も楽しんでしまうブリジット・ジョーンズ。
今回もまた、ジャックとマークの間で揺れることになった。
さあ、どちらを選ぶ?!
…という感じです。
ブリジットの気をひこうと、ジャックとマークが奮闘する様子がおかしくて可愛らしかったですね。
内容はこの辺にしておいて、
以下、オランダの映画館の様子を書いていきます。
行き当たりばったりで見ることに
正直に言うと、『ブリジット・ジョーンズ』が見たくて映画館に行ったわけではなかったのです。
はじめ、『The Magnificent Seven』を見ようとしたのですが、チケットが売り切れ。
「なんでもいいや」と思って、『ブリジット・ジョーンズ』を見ようとチケットがあるか聞いたところ、こちらも売り切れ。
10分くらいどうするか考えたのち、仕方なく1時間後の映画を見ようとしたら、直前にキャンセルが出たようで「1枚残ってます」と言われ、それならばと見ることに。
『The Magnificent Seven』は、一昨年に見た『イコライザー』(デンゼル・ワシントン主演)の監督だったので、後々にでも見たいですね。
こんな感じで行き当たりばったりで見ることにした『ブリジット・ジョーンズ』ですが、
結論から言うと、とても楽しめました。
それは映画の内容もそうですが、何より映画館のおかげで楽しめたのが大きかったです。
映画体験
まず、映画体験として衝撃でした。
上映前はずっとガヤガヤしてるけど、映画がいよいよ始まる直前、暗くなった途端静まり返る。
この落差がワクワク感を増していきます。予告が結構長くて少し疲れてしまいましたが、ビールとポテチを食べながらだったので問題なかったです。
ちなみに、音声は英語で字幕はオランダ語です。ちょっと勉強にもなりました。
上映前から騒がしいと思っていたのですが、映画が始まってからさらに驚きました。
まず、反応がいちいち良い。
面白いシーンにはみんな笑うし、感動するシーンには「Oh...』という反応をする。
初めは圧倒されたけど、だんだん慣れていって、後半には爆笑していました。
たまに英語でついていけないジョークもあるんですが、他の人が笑っているポイントを考えたら、「あ、そういうことか」と納得して理解できたことも何度かありました。
言葉の微妙なニュアンスで笑わせるシーンも多くて、難しい場面もありましたが、周りに助けられましたね。
日本との違い
この点が、日本の映画館との一番の違いでした。
日本の映画館だと、あまり大きな声で笑っていると浮いてしまいますよね。
僕は以前、『ジャッカス/クソジジイのアメリカ横断チン道中』(Jackass Presents: Bad Granpa)をミニシアターで見たのですが、
タイトルから察する通り、これはかなりのバカ映画です。
映画館へは笑いに行ったのですが、驚きました。
ほとんど誰も笑わないんですよ。
無理に声を出せ、というわけではないですよ。
でも、吹き出す人もほとんど誰もいないんです。
何度か吹き出してしまったのですが、むしろ横に座っていた人に少し睨まれました。
「なんのためにジャッカスを見に来てるんだよ」と正直思ってしまいました。
他にも、『キックアス2 ジャスティス・フォーエバー』を見た時も同じようなことがありました。
映画館では誰も笑っていなくて、自分だけ笑っていてほんとうに窮屈でした。
吉本新喜劇の観客で、ほとんど笑わない人っていないですよね?
笑いに来てるんだから、そりゃあ声に出して笑うわけです。
僕にとっては、コメディ映画も同じで
笑うために、楽しむために見にいきます。
なので、面白い場面では吹き出してしまうし、声に出して笑ってしまうこともあります。
それが許されない雰囲気の日本の映画館は少し窮屈に感じることもありました。
もちろん、シリアスな映画は静かでいいですけどね…。
一方のオランダの映画館は(僕が行ったところだけかもしれませんが)、観客はみんなよく笑うんですよね。
自然に声に出して笑ってしまう、というような感じです。
様々な態度があるとは思いますが、個人的には、こちらの態度のほうが好きですね。
窮屈じゃないし、家で見ているように、自然に映画を見れました。
あと何より、映画を見ていて楽しかったです。観客みんなで共有しているということなので。
応援上映
一応付け加えておくと、最近、日本でも応援上映というものが登場してきましたね。
僕は行ったことありませんが、日本に帰れば必ず行ってみたいと思います。
TBSラジオ『タマフル』で検証されていましたが、「やっぱり、みんなそうやって映画見たいよね」って少し感動しました。
『貞子VS伽椰子』の応援上映は行ってみたかったですね…。
少し脱線しましたが、オランダの映画館はとても楽しかったという話です。
今回見たのはコメディ映画だったので、またシリアスなものを見れば事情は違うかもしれません。
次はスリラーかホラー映画を見てみたいと思っています。
海外で中国人だと思われたとき、どう返答するか
先日、ケバブ屋(週1で通っている)でケバブを食べていると、順番待ちをしていた20代半ばくらいの女性にいきなり、"Hello, China town"と言われた。初めはその発言が理解できず、「ん?こいつはジャックニコルソン主演の映画『チャイナタウン』の話でもしてるのか?」とか考えてしまい少し混乱した。
もちろん彼女は名作映画の話をしたいわけではなかった。ニヤついたその顔を見て、「ああ、バカにしてきてるんだ。こちらを中国人だと思って差別したんだな」と察知した。
それに気付いたとき、どうしようもなく腹立ったが、そのまま否定して「中国人ではない、自分は日本から来た」というのもなんとなく憚られた。言葉が出なくなり、しばし相手を睨みつけた。「中国人ではない」と否定してみせるのも、差別の再生産のような気がしたのだ。否定するだけであれば、「中国人であれば差別されても仕方ない」と暗に認めることにはならないか。「中国人ではない」と否定するだけでは不十分で、「自分は中国人ではないが、中国人への差別は許さないぞ」まで言えたら完璧だったかな。まあ、そんなことすぐに言えるものではなく、喉の奥に何か詰まったように言葉が出てこなかったのが現実だ。
なんなら中国語(少しできる)で文句言ってもよかったなとも思ったが、あいにく、口をついて出るような文句は知らなかった。
結局、一緒にいた友達が「日本から来た」と説明してくれて、そいつは不服そうな顔で押し黙った。その後でも、やはりなんか言ってやろうかと思ったが、何も言わなかった。正確にいうと、何も言えなかった。
オランダで、中国人や台湾人の友達が何人かできた。みんなとても良いやつだ。僕が拙い中国語で自己紹介をすると、「とても発音がいいよ!」なんて言って褒めてくれる。学部生時代に途中で勉強をやめてしまったとはいえ、少しでも中国語を話せば掴みがいいし、会話はスムーズに始められる。今になって、中途半端な形にはなってしまっても、とりあえず勉強しておいてよかったと思う。
いま考えるのは、もし中国人や台湾人の友達と一緒にいるときにこういうことがあったら、自分はどのように行動すべきかということ。その時は、彼らの代わりに言い返さないといけないなと思う。そんな場面に遭遇したくないが、一応心の準備として。
今回はオランダだったが、以前ベルギーに行ったときも似たようなことがあった。友達と歩いていた自分を見るなり、「チナ、チナ」と言われた。ムカついたので、日本語で「馬鹿にすんな」と文句を言った。相手はニヤニヤしながらその場を去った。
間違われたからといって腹が立つわけではない
一応付け加えると、お店に入ったときに「ニーハオ」と言われれば「ニーハオ」と返している。訂正するのも面倒だし。帰るときには「再見!」とも言う。その仕方で間違われても腹は立たないし、間違えてるにせよ好意は感じるから、なんなら少し嬉しい。向こうからしたら相手の言葉で挨拶をしようとしてるわけで、気遣いは感じるからだ。
そうやって間違われることにいちいち腹を立てたりはしない。割合として多いから仕方ないんだと思うし、見分けがつかないんだろう。それはそれで失礼な話ではあるが。
ジャッキーの国か?
そういえば、「日本から来た」と自己紹介した時に「ジャッキー・チェンか?」と言われ、その質問には「イェスイェスイェス!」と答えた。ジャッキーに間違われるのは光栄だ。というか、人格形成に影響及ぼしてるし(小さい頃に『レッド・ブロンクス』と『酔拳』を繰り返し見た)、やはりあの質問にはイェスだった。
9月~10月初旬
久しぶりの更新。
到着した日から順に書いていたが、遡ることがだんだん面倒になってしまっていた。
イントロダクションウィーク
9月初め、ESNという留学生組織の主催するイントロダクション・ウィークがあった。1週間、毎日何かしらのイベントが開催された。クラブパーティ、コメディーナイト、スポーツ大会、各種交流会…。グループはあらかじめ決められており、約10人くらいと毎日顔を合わせることになったので、さすがに仲良くなれた。
といっても、早い会話にはなかなかついていけず、たまに辛い気持ちに。途中からなんとか聞き取れるようにもなったが、それでも発言ができない。しょうがないので、ほかの人の話を聞くことが多くなった。それはそれで楽しかったが。
イントロダクションウィークが終わり、大学が始まった。
週3コマの授業
僕の所属は、Modern History and International Relations(現代史と国際関係論)のコースである。2つの必修授業があり、Methodology(方法論)とTheory(理論)は水曜日に2時間ずつの計4時間。
方法論の授業では、国際関係論における歴史的アプローチについて考えることが多い。面白かったのが、第4回の授業時に「アラン・ソーカル事件」に関する一連の論文が参考文献になったことだ。馴染みがないとかではなく、そもそもの論文が意味不明なので日本語で検索して読んでみた。そこで気づいたが、2000年前後の時代のネットの雰囲気が良いなあということ。
例えば、こういうとても分かりやすい記事が、簡単に入手できるのだ。ほかにもWikipediaからリンクが多く貼られていて、それぞれが面白い。もとの論文や反論記事等も翻訳され、ネット上で読めるようになっている。デザインはとてもシンプルなもので懐かしい気持ちになるのだが、このような形でネット上で議論されていた時期があったんだな~と思う。
もう一つ、Reserch Seminar(研究演習)としてHistory,Culture,Politics of East Asia(東アジアの歴史、文化、政治)を受講している。日本研究を専門にする先生が開講しており、その先生の講演を日本で聞いたこともある。
「東アジアの~」を取ったのは、ヨーロッパの東アジアに対する視点が知りたいということと、あとは内容的に取っつきやすいからというのが正直な理由。英語論文ひとつにしても、読みやすさが段違いなのでやりやすい。かなり推測しながら読めるし。
やはり、中国への関心が高いなあと感じる。10人くらいの受講生の中に中国人留学生がいて、彼といろいろ話すうち仲良くなった。自己紹介とかなら少しだけ中国語できるので、それをきっかけに話すように。少しでも話せたら、かなり掴みがいいと思った。
近況
今はようやく落ち着いてきて、いい感じで授業に臨んでいる。
ただ、エッセーやレポート(Paper)を書かないといけないのでかなり忙しい。800Wordsのエッセーとかはなんとかなるのだが、レポートは4000~5000Wordsなので大変だ。
今朝、Methodologyの先生と面談し、課題や文献の探し方等についていろいろ話した。とても親身になって聞いてくれたので助かった。帰り際に「ありがとう」と言うと、「そりゃあ、教えるのが私の仕事だし。教えること自体も好きだしね。また来週も来てね」と言ってくれたので、また行こうと思う。”Door is Open!”と笑顔で言ってくれた。なんだか嬉しかった。
居候生活と映画
居候生活(8月28-30日)
フィリップとの居候生活が始まった。朝起きると、彼はオランダ式の朝食とランチを作ってくれている。
オランダでは温かいものは夜にしか食べず、朝昼はコーンフレークやサンドイッチで済ますことが多いらしい。
バターを塗ったパンにチーズとハムを挟んだサンドイッチ、これを毎日食べた。オランダのパンは硬く、乾燥している。日本のパンはかなりしっとりしているんだなと感じた。
ここで、少しフィリップについて説明したい。
彼は僕より少し年上で、身長は193センチとかなり高い。ただ、平均身長が185センチのオランダでは普通に見える。
メガネをかけていて、かなりのゲーム好き。レトロゲームの収集も好きなようで、64やゲームボーイ等の任天堂ゲームはもちろん、アメリカのとても古いハードを見せてくれた。1970年代のもので、二束三文で売ってる割にしっかり動き、意外と面白いそう。
もちろん最近のゲームも好きで、パソコンでずっとゲームをしていた。最近は戦車を操作するゲームにハマっているらしい。
僕はほとんどゲームをしないので、あまりよく分からなかった。
フィリップの家に入ってから、ずっと気になっているものがあった。それが、この見事な本棚だ(本人の許可をとって撮影しました)。
まず目を引くのは、日本のマンガ。英語やフランス語に翻訳されたものが所狭しと並んでいた。そして、日本語のものも並んでいたのでどこで買ったのか聞くと、日本に行ったときに買い集めたそう。日本語を勉強しようと思って買ったが、難しくてあまり読めていないらしい。確かに、日本のマンガをそのまま日本語で読むのって相当な語学力が必要ですもんね。
こちらの方がまだ簡単だと思って、虚淵玄の書いたラノベを買ったという。「普段アニメはあまり見ないけど、まどマギは見たよ」なんて話をすると、「あのアニメはグレートだ」なんて話で盛り上がった。
映画
そして、最も気になったのがやはり、この映画コレクション。かなり自分の好みに合っているのだ。
まず驚いたのが、三池崇史『デッド・オア・アライブ』のトリロジーDVDボックス。こんなの初めて見た。1は数年前に見てかなり好きな映画なんですが、2,3はあまり評判が良くなく見ていなかった。が、オランダ人のフィリップは1,2,3全てが揃ったDVDボックスを持っている。「これはすごい!」と驚いていると、『殺し屋1』も発見した。監督は同じ三池崇史。どちらの映画もバイオレンス描写が凄まじいものだ。
聞くところによると、数年前に日本映画ブームが起こったらしく、その時に三池崇史の映画が流行ったそうだ。確かに、僕が日本でチューターをしていたオランダ人の友達も三池崇史の名前はよく知っていた。
他には、深作欣二『バトル・ロワイヤル』もあった。このジャンルの映画を抑えているという感じで、本当にいいコレクションだと思った。
僕がなぜこの辺の映画を見ているかというと、日本の映画雑誌『映画秘宝』のせい(おかげ?)である。映画秘宝はそれまでの雑誌(キネマ旬報など)と違い、ホラー映画やカンフー映画など(もちろん他にも色々)を真正面から扱う方針を掲げる映画雑誌である。そして、バイオレンス映画もよく特集されている。
この雑誌の創刊者である町山智浩氏は現在では有名な映画評論家。町山さんのことを友達に教えられて以来、彼の著作や映画秘宝を読むようになり、次第にこの手の映画に詳しくなっていったというわけだ。
映画の話が長くなってしまったが、とにかく、フィリップと映画の趣味があったということだ。あとに聞いた話だが、オランダ人が日本映画(それも特定のジャンル映画)に詳しいのは理由があるらしい。数年前までオランダのMTVで毎週、日本映画が放送されていたというのだ。オランダ人の間で最も有名な映画が『バトル・ロワイアル』というから、ジャンルの雰囲気はなんとなく想像してもらえるだろう。
オランダに来たばかりで、英語もなかなか十分に(今もだけど)話せない中、趣味が合ったことは本当に助かった。「おすすめの映画は?」と聞かれたので、「君の趣味に合うものだと、園子温『地獄でなぜ悪い』がオススメ。白石晃士っていうホラー監督がグレート」と教えました。気に入ってくれるといいんだけど。
BAD TASTE
最後の日、彼はとっておきの映画を見せてくれた。あの『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの監督、ピーター・ジャクソンの初監督映画『バッド・テイスト』だ。
若き日のピーター・ジャクソンが仲間と4年もかけて作ったという、手作り感あふれるB級自主製作映画。全編血みどろのスプラッター描写はもちろん、ギャグ描写が面白くて、何度か爆笑してしまった。コレクションの中から珍しい一本を見せてくれて、なんだか嬉しかった。
ちなみに、来週、彼の家でホラー映画観賞をすることになった。以前公園に行った時の友達も連れてきてくれるという。いまからとても楽しみなんですが、「君が見たいものを見ようよ」と言われている。今年見てとても気にいったホラー映画『貞子VS伽椰子』を見たいと思ったが、海外配給もまだで、やっと日本版のソフトが出たばかりなので断念。どうしようかと迷っていますが、まあ適当になんか見せてもらおうと思います。
寮に入るまで(8/26-27)
Airbnbの不手際
先日書いた通り、寮に入る前の宿はもっぱらAirbnbで直前に予約していた。普通のホテルは探してもいない。Airbnbはかなり安いからだ。
Airbnbで予約できる宿には二種類ある。ひとつは先方とのやり取りが必要な宿、もうひとつは必要のない宿だ。後者の方はメッセージのやりとりなしで、直前に予約可能だ。
準備がいろいろと直前になっていたこともあり、後者の種類の宿を予約していた。グローニンゲンに3泊して、それから寮に入る予定だった。
しかし…
アムステルダムから電車に乗って北へ2時間、グローニンゲンに到着した。グローニンゲンは小さな州で人口は20万人ほどであるが、その2割が学生という、まさに学生のための街である。街といっても、オランダには12しか州がなく、そのうちの一つである。
オランダは西部が中心と言われており、首都のアムステルダム、ハーグ、ロッテルダム、ユトレヒト…など一度は聞いたことのある州が並んでいる。ちなみに、「北部のグローニンゲンは西部の人間が嫌いだ」とかいうジョークを教えてもらった。どこまで本当なのかはわからないが。
話を戻す。グローニンゲンに到着すると、友人の友人であるフィリップさん(以下、敬称略)が出迎えてくれた。僕の友人が彼を紹介してくれており、出発の数日前には町を案内してくれる約束もしていた。
彼と出会ったとき、「これが西洋式か?」と思いハグしようとしたのだが、彼はその気がなかったらしく、中途半端なハグになった。微妙な距離まで体を近づけたが、すぐに離れた。そうか、ハグって親しい間柄でしかしないのか…。
とにかく、宿へまずは向かおうということで、住所を見せ、Airbnbで予約していた宿へ向かった。
誰も来ない
バスで20分ほどかけて、宿へ到着した。が、家には誰もこない。15分ほど待ったが誰も来ないので、フィリップに電話してもらう。オーナーが電話にでたが、なんとAirbnb側の手違いでダブルブッキングになっており、「申し訳ないが、あなたは泊まれません」とのことでした。どうしよう…。
とりあえず、「うちに荷物置きなよ」ということで、フィリップ宅へ。Wi-fiを使わせてもらい、宿を探す。が、なにぶん当日なので見つかるはずがない。
すると、フィリップは「泊まってくれても大丈夫だよ、月曜日までなら」と言うではないか。さすがに悪い、申し訳なさすぎる、というか初対面だし…と思って続けて探そうとするが、まあ見つかるわけがない。メール送っても、lineじゃないんだから返信はすぐに来るわけがなかった。
甘えてもいいですか…?
本当に何回も何回も聞き直した。
僕:「本当に泊まってもいいの?」
フィリップ:「迷惑じゃない、全然大丈夫」
僕:「本当の本当に?」
フィリップ:「本当に大丈夫。それより今日は友達とフェスティバルへ行く約束をしていたから、君も来なよ」
ということで、居候させてもらうことにした。あまりに申し訳ないので、日本から持ってきたお土産を2つあげた。その後、地元のお祭りへ出かけた。
地元のフェスティバル
グローニンゲンは小さな町だ。端から端まで行くのに、自転車で30分で行けてしまう。
町の中心に、グローニンゲン大学や教会、シンボルマークのマルティーニタワーがある。そして、ど真ん中にある大学を中心に繁華街が広がっている。それを囲むように運河が流れ、その外には寮や住宅が広がる。
町を歩いていると、若い人とすれ違うことが多い。それくらい大学生のためにあるところなのだ。例えると、心斎橋や難波の中心に大学がある、そんな感じだ。例えが大阪で申し訳ないが。
そんなグローニンゲンだが、地元住民のためのフェスティバルがある。それは大学の学期始まり(9月初旬)の直前に開催され、一週間ほど続くそうだ。なるほど大学生があまりいない時期に開催されるというわけだ。
フィリップに連れられ、彼の友達の家に向かった。家にはフィリップの友達(兄弟)2人と、弟さんの奥さん、女友達1人、の4人がいた。
正直、何がなにやら分からなかったが、とりあえずビールを渡されしばし談笑。
女友達に「いつ到着したの?」と聞かれ、「昨日」と答えるとかなり驚かれた。「私だったら、疲れてしまって眠いわ」と。少し疲れていたが別に平気だったので、「No problem.」と答えると笑っていた。
そして、肝心のフェスティバルへ
さっき話した彼女は、「この町は大学生のための町なの。ほとんどのイベントは大学生がやっているけど、この祭りは地元住民がやってるの」と教えてくれた。たまたまとはいえ、そんな地元のお祭りに参加できるのは嬉しかった。
お祭りは、広い公園で行われていた。日本でもオクトーバーフェストが最近流行っているが、まさにあんな感じ。あれの規模を巨大な公園にまで広げればいい。だいたいイメージできるだろうか。
この祭りは、音楽祭のようだった。あちらこちらのステージでバンドが演奏し、観客はみんな歌っている。みんな知っている歌なんだ。オランダ語の曲もあるが、英語の曲も多い。観客はありえないほど多く、そして盛り上がりまくっていた。日本のそれとは熱気が違う。
オランダ人にとっておなじみの曲でもほとんど知らないので、ビール片手にぼーっと様子を眺めていた。8月とはいえ、オランダの夜はかなり涼しい。外でビールを飲むには最高の気候だと思った。
誰やねんお前
フィリップの友達と話しているとき、その友達ひとりが何かの説明のために遠くを指さした。内容は覚えていないが、とにかくある方向を指さしながら説明していた。
そのとき、見知らぬ男性がちょうど通りかかり、その男性を指さすような格好になってしまった。みんなで「ソーリー」(オランダ語も同じ)と謝ったら、その男性はニコニコして「全然大丈夫!」と言いながら、僕たちに握手を求めてきた。
「気のいいやつだな」と思いながら面白かったので、とにかく握手しておいた。
すると、彼はなんとなくニコニコしながらその場に居座るようになった。特に話すわけでもなく、こちらの話をふんふん聞いている。
「この人なんやねん」と思いながら、あまりにも自然に居座るので、「もしかして友達なのか?」とも思ったが、それもどうやら違う。誰も彼には話しかけないからだ。
最後まで「お前誰やねん」という疑問は消えなかったが、僕以外はあまり気にも留めていなかったので、とりあえず放っておいた。
夜も遅くなったので、フィリップの家に帰った。まさかの居候生活が始まった。
波乱の一日目
Airbnb
今流行りのAirbnb(エアービーアンドビー)で宿を確保しました。ところが、この宿の場所がめちゃくちゃ分かりにくい。それも当たり前で、普通に民家なんです。公団のようなマンションで、かなり分かりにくいところにありました。以下、どうやって辿り着いたか書いていきます。
迷った
アムステルダム空港に着くと、とりあえずアムステルダム中央駅(セントラルスタシオン)に向かうことにした。約10分で到着し、電車を降りると、オランダらしい風景の都市が広がっていた。この時点で、19時くらい。
驚くべきことに、外はめちゃくちゃ明るくて、日本でいう昼の15時くらいだと思いました。アムステルダム中央駅からはどうやって行くか。ここから迷いまくりました。
まず、スマホとiPadの電池が切れてしまい、一転して万事休す。なんとかパソコンにiPadを繋いで復活させ、住所は紙にメモしておきました。お土産屋の人にきくと、トラム(路面電車)に乗らないといけないそう。駅を教えてはもらいましたが、まず、チケットの買い方がよく分かりません。タバコをプカプカさせていた車掌のおじさんに聞いてみると、電車の中で買うらしい。
電車の中にチケット売り場みたいなのがあって、そこでチケットを買った。一律2.9ユーロで、一時間は乗り放題みたいだった。そして、目的の駅に到着。着いたはいいものの、全然分からない。この時点で20時くらい。
とにかくWiFiだと思って、WiFiを求めてケンタッキーへ入った。オランダ初の食事、ケンタッキーでした。注文にも意外と手間取ってしまった。オランダ語表記のメニューを見たまま発音してみたが、「は?」と言われたので指差し注文に切り替える。
注文はできたが、その後の店員さんの質問(英語)が聞き取れない。なんとなく推測して、「ここで食べます」と言ってみたが、全然違う質問だった。
「ビッグ?スモール?」と改めて聞かれたので、値段の違いあるとはしらず、「ビッグ」と答える。2ユーロの追加料金だった。続いて味を聞かれたのだが、どんな味があるなんて知るわけがない。「トマト?」と改めて聞かれたので、「トマトトマト」と答えておいた。正直なんでもよかった。
ケンタッキーで、めちゃくちゃでかいツイスターと大盛りポテトを頬張りながら、でかいコーラを飲む。このとき、機内でいろいろ食べたことを思い出し、大盛りポテトが苦しくなってしまった。
さて、ケンタッキーでWiFiを繋ごうとしたが、繋がらない。何回試してもダメだったので、仕方なく食べ終えて外へ出る。ここで、あろうことか、外がめちゃくちゃ暗くなっていた。焦りまくって、タクシーを使おうとタクシーを止めてみたが、「この住所ならすぐそこや」と言われ歩いていくことに。
やはり分からなくて迷っているところに、子供連れの家族が歩いてきた。なんとか話しかけると、親切にも近くまで連れて行ってくれた。本当にありがとうございます。感謝しつつ別れた後、ようやくマンションへ到着。
普通の公団というか、普通にマンションで少し面食らった。一軒家だと勝手に想像していたのだ。番号を押すといきなり開けてくれ、中へ通された。少し説明を受けたあと、オーナーの若いお兄さんとしばし談笑。英語で話すが、途中ちょっと何言ってるか分からなくなり、眠かったので早々に切り上げた。
ここから、Facebookでいろいろメッセージを送ったり、同じくヨーロッパへ留学してる友達とSkypeしたりしていると、かなり夜も遅くなった。気づくと24時間以上活動していたので、風呂に入って寝た。
駅の中にあるピアノ
駅の中にピアノが置いてあり、誰でも自由に弾けるようだ。街の中にも、こういう風にピアノが置かれていた。
出国から入国まで
つらかったフライト
関西国際空港→フランクフルト(ドイツ)→アムステルダム(オランダ)
初めの飛行機に乗ったとき、戦慄が走った。横に座ってたのが、かなり巨漢の男性だったのだ。「この状況に11時間耐えないといけないのか…」と考えると絶望的な気持ちに。常にお互いの太ももが密着している状態で、長時間のフライトを楽しみました。
機内食と映画
機内では映画を見ようと決めていたので、映画をいろいろと物色。ここで気づいたのですが、イヤホンを忘れてしまいました。せっかくAmazonビデオで映画を何本かダウンロードしておいたのに…。僕の大好きな『蒲田行進曲』も見れません。
仕方ないので、『500日のサマー』を見ることにしました。これも5回目くらいなのですが…。映画を見ている間に機内食があり、それを食べて寝たりしているうちにいつの間にか映画は終わっていました。
そうそう、機内食はかなり美味しかったです。まず、めちゃくちゃ温かいんですね。熱いくらい。しかも、ドイツの航空会社とあって、ビールもドイツのものでした。ビールを飲んだ後、せっかく頼めるしと思いワインを注文。飛行機が揺れまくったのも手伝い、少し気分が悪くなるくらい酔ってしまった。最悪の気分のなか、寝ることに。
『500日のサマー』を見終えたら、久しぶりに『ファーゴ』を見返しました。いやあ、めちゃくちゃ面白いですね。残酷なシーンも多いですが、笑ってしまうジーンもありお気に入りの映画です。
ここで二度目の機内食。今回はスプライトを注文しました。イングリッシュティーも頂き、優雅な気分に。
で、もう一度寝て起きると、あと一時間のところに来ていた。やることもなかったので、『500日のサマー』のお気に入りのシーンだけ見返しました。あのスプリットスクリーンになって、「期待」と「現実」が映し出されるところです。あれ面白いですね。実は、ズーイ・デシャネル出演作では『イェスマン』の方が好きです。また、ジョセフ・ゴードン・レヴィット出演作では、去年映画館で観た『ザ・ウォーク』の方が好きです。
でも、この映画で二人の俳優さんを好きになったという理由で『500日のサマー』はやはり思い出深い作品です。
…とか考えていると、ドイツへ到着しました。
緊張の入国審査
実は、滞在許可証をまだゲットできていないのです。要するにビザがない状態なわけですが、これで果たして入国審査をスムーズに通ることができるのでしょうか。
日本で荷物を預けるときにも少し揉めて、なんとか説明して通してもらいました。受付の方から「ドイツでの入国審査では自信をもって、強気で説明してください」と言われました。
そんなこともあり、少し緊張して入国審査に臨みました。
結果は、めちゃくちゃ簡単に通してもらいました。