オランダ留学記とその後

2017年9月まで、オランダのグローニンゲン大学(RUG)へ留学していました。

ベルリン、オランダのシナゴーグ、『ブラック・ブック』

最近は日常のことを書いていたけど、留学していた時のことをふと思い出したので、すこし書いてみたい。

留学生活の思い出:ベルリン

オランダに約一年留学していたが、最後の1か月間はヨーロッパ諸国を回った。

旅行した中では特に、ベルリンがもっとも印象的であった。「Booking.com」で予約したユースホステルは、安い割には居心地が良かった。

たまたまレストランで隣り合わせたお婆さんや、バスでやはり隣り合わせたお婆さんと仲良くなって、いろいろ話したりした。とても親切で素敵な方々であった。

月並みな感想だが、歴史博物館は物凄く立派で感銘を受けた。資料集とかドキュメンタリーとかで見てきたものを実物で見るのは、やっぱり感慨深かった。

特に、ユダヤ博物館がとても印象に残っている。博物館のことは、レストランで隣り合わせたお婆さんに教えてもらった。「一度見ておいたほうがいいよ」と言われたので、そのアドバイス通りに次の日に訪れた。

館内は主に、ホロコーストで犠牲になったユダヤ人の写真と証言のみによって構成されていた。写真といっても、収容所の凄惨な写真ではない。なんでもない平凡な家族写真、顔写真などである。

僕は音声ガイドを借りた。音声ガイドは生存者の証言によって構成されていたが、落ち着いて淡々としたものであった。しかし、それがさらに印象を強めていた。館全体の印象は落ち着いたものであったが、その意味を後でいろいろ考えていた。エモーショナルな展示にもできたはずだが、そうすると耐えられない人が出てくるんじゃないかと思った。証言のみでも恐怖で気分が重くなり、途中すこし休憩が必要なほどであったので。

僕は、オランダのグローニンゲンに留学している間、ユダヤ人の教会(シナゴーグ)にも何度か行ってみた。シナゴーグで写真展などが開催されていたこともあったが、一度訪れてみたいと思っていたからだ。

オランダでは慰霊の日があるのだが、その時は自転車に乗って街外れにあるユダヤ人の慰霊碑に行った。慰霊のために来た人が置いていったであろう花が供えられていた。その日もシナゴーグに行ってみた。慰霊の日には、生存者の方の家に訪問して証言を聞くという習慣があるという。ぜひ聞いてみたいと思って協会の方に質問してみたが、英語はなく、オランダ語しかないということで諦めた。残念だった。

そういえば、オランダ留学中にはオランダ人の映画監督であるポール・バーホーベンの映画『ブラック・ブック』(2006)を見た。バーホーベンはもともと好きな監督だったし、せっかくオランダにいるからということで、一時期は集中的に彼の映画をみた。ナチス占領下のオランダを舞台にしたサスペンス映画だったが、とても難しくて複雑な映画だなと思った。個人的には今まで見た戦争映画でベスト級の作品で、オランダにいる間に見てよかったなと思う。