オランダ留学記とその後

2017年9月まで、オランダのグローニンゲン大学(RUG)へ留学していました。

韓国への短期留学:2017年8月

久々の更新です。

僕は2017年8月初めにオランダから日本へ帰国したのち、すぐにまた韓国へ短期留学にいきました。とても印象的な短期留学となったので、今回のエントリーはその時の様子をレポートします(もはやオランダ関係なくなりましたが)。

漢陽大学サマースクール

漢陽大学サマースクールは、2017年8月6日から同22日にかけて16日間の日程で行われた。ちなみに、漢陽大学はソウルのけっこういい場所にありました。

8月6日にソウルの仁川空港に集合したのち、すぐに大学に隣接する学生寮へと入居した。寮はドウミ(日本でいうチューター)の学生1人との相部屋である。

翌日には、ドウミたちの紹介を兼ねた歓迎会と、クラス分けのための簡単なテストが行われた。このテストをもとに、日本から来た学生たち75人は7クラスに分けられた。僕は6番目のクラスに振り分けられ、8日から早速、1日4時間にわたる韓国語の授業が始まった。


授業では、漢陽大学の国際言語部が作成した『한양 한국어(漢陽韓国語)2』がテキストとして使用された。テキストのレベルは初級~中級レベル。

「自己紹介」の項から始まり、「招待」、「旅行」、「趣味」、「学生生活」…と続いていく。韓国への留学生向けに作られたテキストなので、韓国で学生生活を送るうえで必要となる実践的な表現を学べるように作られていた。

先生はテキストを使いながらも、随時、ご自身で用意された副教材を使用して会話中心の授業を行っていた。学生は10人程度と少人数で、質問を気軽にできるアットホームな雰囲気であった。


授業は9時に始まり、昼の1時に終わる。

その後は、ドウミたちの用意してくれた「スペシャルチュータリング」や「韓国語チュータリング」が行われる。「スペシャルチュータリング」では、ドウミたちが「韓国の若者の恋愛事情」や「学生の飲み会文化」、「ソウルのおすすめスポット」等、くだけた内容について発表してくれた。発表では韓国語の教科書には出てこないような若者言葉・文化について知ることができた。

このように、現地の学生たちと近く触れ合えることは本プログラムの特色のひとつであろう。

ドウミ達は教室の中だけではなく、ソウルの街中をつかっていろいろなことを教えてくれた。韓国で流行っているヘアースタイルやファッション、音楽、地下鉄やバスの乗り方、安くて美味しい韓国料理、若者に大人気のかき氷、そして韓国流のお酒の飲み方まで。

僕はこれまでに何度も韓国へ行ったことはあるが、同年代のドウミ達から教えられる「韓国」はそれまでのどれとも違っていた。

そして、最も大切なこととして、今回のプログラムを通じて多くの友人ができた。僕はもっと彼ら・彼女らのことを知りたいと思ったし、韓国のことをもっと勉強したいと思った。

「韓国語を勉強するモチベーションが上がった」と言えばそれまでではあるが、モチベーションという言葉で片づけたくはない。また、「相手のことを理解したい」というのとも少し違う。「理解」という言葉を使った途端、相手を上から目線で解釈して理解した気になってしまうような感じがするし、なにより傲慢な響きがある。

やはりぼんやりとした言い方ではあるが、韓国語をもっと勉強して、韓国の友人たちともっと仲良くなって、韓国のことをもっと知りたい。一方的な思いかもしれないが、そのような思いを強くした韓国・ソウルでの16日間であった。

以上、ソウルへの短期留学記でした。 

帰国後

日本へ帰国した後、いくつかの韓国留学記を読んだ。自分の体験を整理したいと思ったからだ。

読んだのは、関川夏央『ソウルの練習問題』(初版1983年)と四方田犬彦『われらが「他者」なる韓国』(初版1987年)である。1980年代の韓国を目撃した著者たちの記述はどちらも非常に面白く、強く印象に残る本だった。残念ながらどちらも絶版になっているが、『ソウルの練習問題』はKindle版で読める。単に旅行記としても楽しく読めるので普通におススメです。

これらノンフィクション(あるいは評論)ものに加えて、自身の韓国留学を題材にしていくつかの小説を書いた李良枝(1955-1992)の作品もいくつか読んだ。まず、『刻』(初版1985年)を読んだ。主人公はやはり当時の韓国に留学している。小説自体が面白いのももちろんそうだけど、講談社文芸文庫版にあるリービ英雄の解説「李良枝という奇跡」は感動的であった。

それに加えて、1989年の芥川賞を受賞した『由煕』も読んだ。こちらもやはり、物語の主要人物は日本から韓国に留学してきた学生である。講談社文芸文庫で読めるので、ぜひ。

 四冊とも非常に面白い本だった。久しぶりに、自分の興味だけに従って自由に本を読めたのは楽しかった。オランダ留学中は英語の本や論文に追われる日々だったので…。

 

新装版 ソウルの練習問題 (集英社文庫)
 
 

 

われらが「他者」なる韓国 (平凡社ライブラリー)

われらが「他者」なる韓国 (平凡社ライブラリー)

  
刻 (講談社文芸文庫)

刻 (講談社文芸文庫)

 
由煕 ナビ・タリョン (講談社文芸文庫)

由煕 ナビ・タリョン (講談社文芸文庫)