留学100日目:映画観賞会、生活振り返り
今年の8月末からオランダに留学しています。
今回は、前回の記事で書いた「映画グループ」の結果と、これまでの生活の振り返りについて。
映画観賞会
前回の記事で書いた映画グループですが、早速、昨日の金曜日の夜に開かれました。
一応、各自が映画を見てくるという前提ではありましたが、
僕は友達4人と共に観賞。
ビール片手に、ドリトス(お菓子)をトマトソースにつけて食べながら見ました。
今回の課題映画は「トゥモロー・ワールド(原題:Childeren of Men)」
監督は、アルフォンソ・キュアロンで、最近では『ゼロ・グラビティ』が有名ですね。
僕は、2年前のお正月に『ゼロ・グラビティ』を映画館で見ました。
映像や音響が衝撃的だったので、すごく記憶に残っており
今回の『トゥモロー・ワールド』もかなり期待して見始めました。
この映画は「人類が子供を産めなくなった未来」を舞台としたSF映画です。
その中で、主人公は(なぜか)妊娠してしまっている女性と共に政府から逃げていく、というお話です。
この映画の独特なのは、なぜ人類が子供を産めなくなったのか、という設定に説明がつけられていないことです。
また、主人公の仲間である女性はなぜか妊娠しているのですが、その理由も明らかにされません
このように、内容面でもけっこう変わったSF映画でした。
SF映画ではあるのですが、謎が謎のままずっと進行していき、ほとんど何も明かされません。
初めはなんだそれ?と思いながら見ていきますが、次第にロードムービー感が増していき、この映画の見どころである長回しで興味を惹かれていきます。
実のところ、監督はSF設定とかには興味ないんじゃないかと思いました。
『ゼロ・グラビティ』もそうでしたが、自分の演出を活かせる、やってみたい映像描写ができる「容れもの』としてSFの設定を使っているんだろうなあと。
そういう意味で、SFファンにはあんまり響かないんじゃないかなと思います。
ただ、「SF映画は普通に好き」くらいの映画ファンなので、「おおー、この長回しすげー!」とか「爆発すげえ」とかでけっこう盛り上がりました。
友達と感想を話していて、「10点中7点」かなくらいの評価に落ち着きました。
やはり、「どうして謎が明かされないんだ?」と不満な人が多かったですが、
「そういうSFもありなんじゃない」という意見もありました。僕もその意見です。
前回のブログでも触れた”Arrival”が映画館でもうすぐ公開なので、見に行くことになりました。
映画観賞会がきっかけで、いろんな映画の話をするうち、友達の趣味なんかを聞けて楽しかったですね。
次は、「Crime&Gangsta」のカテゴリーから映画を選ぶことになりました。
次回も楽しみですね。
留学100日目
気づけば、オランダに来てから100日が経過していました。
早いような、遅いような…。
初めは何をするにしても余計な時間がかかっていましたが、最近はすっかり生活にも慣れてきて、それなりに充実した日々を送っています。
ただ、レポートを3本書かないといけないのが、とてもしんどい。
それも12月23日まで(クリスマス前)に、それぞれ3500Words 、5000Words、6500Wordsを書かないといけない。
こんなに長いものを、それも複数、英語で書いたことなんか正直ないです。
先が思いやられまくっていますが、先生がとても親切で、僕のことを常に気にかけてくれているのは本当にありがたいですね。
面談なんかも気軽に応じてくれますし、研究計画書に書いた英語の表現自体も優しく訂正してくれます。
今週は、明日・月曜日にグループでのプレゼンテーションが1つあります。
テーマは、「東アジアの地域主義と地域統合」について。約20分から30分くらいです。
同じ発表者の方がやはり親切で、いろいろと二人で話し合いながらサポートしてくれています。
内容はある程度固まっているので、あとはきちんと練習しないといけないという感じです。
そしてもう一つ、木曜日にもプレゼンがあって、こちらはかなりしんどい。
課題文献を約100ページ読んできて、それの内容紹介をレジュメ3枚にまとめて発表するというもの。
先週、オランダ人の友達が発表していたのを聞いて、うますぎて正直びびってしまっています。
その方もとても親切な方なので、思い切ってどうやってレジュメをまとめたのかとか、準備の方法を聞いてみるといいかもしれません。
なんにせよ、周りの方にすごく助けてもらってなんとか勉強も頑張っている、という感じです。
ちょっと決意表明(?)
あと、最近、普段の生活の時間を記録することにしました。
何時に起きて、何時に大学に行って図書館に行って、何時間勉強して…という具合です。
やり始めて気づきましたが、勉強・研究の時間をもっと増やさないといけないということです。
「ライティングできない」とかいう問題よりも、
「そもそもインプットが足らないのでは」ということに気づきました。
恥ずかしい話ではありますが、当たり前のように、もっと時間をかけてしっかりやっていかないと、後で振り返ったときに後悔することになります。
それなりに頑張ってはいるつもりですが、オランダで勉強する機会を活かしきれているかというと、正直、心許ないです。
最近、就活やそれ以後のキャリアをぼんやりと考えたりする中で気持ちを改めたこともあります。というか、以下の記事を読んで、かなり刺激になりました。
「努力が報われやすい語学学習」という話や、「正しく努力する」という話など、とても刺激的かつ勉強になるものでした。
「せっかく大学で勉強しているのだから、シラバスにあるような定番の教科書をしっかり読んで勉強する」と言っていて、それは本当にそうだなと思います。日本で勉強しているときはなるべくそうしていました。
実は、オランダにきて、授業中に国際関係論(IR)の用語がばんばん出て来るのにけっこう戸惑っていました。そこで、オランダでも定番の教科書を2冊買うことにしました。
”Constructivism”とか言われるとまあイメージはできるのですが、「その理論を君の論文に応用したほうがいいよ」なんて言われるとけっこう困ってしまいます。
あと他には、”Liberal-institutionalism”とか出てくると、正直「なんだそれ…」という感じです。まあ、開き直ってWikipediaとか読んだほうがてっとり早いのかもしれませんが。
買った教科書を端から端まで読むことはないかもしれませんが、どうせならしっかりと読み込みたいと思います。
クリスマス休暇とお正月は、旅行に行こうかなとかも考えていましたが、あまり時間がないので、家で勉強して過ごそうかなと思っています。
他の優秀な同級生たちに少しでも追いつきたいというか、自分もディスカッション等に少しでも貢献したいので。
というか、寒くてあんまり外に出たくないというのが正直なところではあります。
以上、(100日という数字それ自体に大きな意味はありませんが)一応これまでの振り返りと新たな決意表明でした。
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人の手助けがないと、本当にどうなっていたことやら…。
留学98日目:ライティング、映画グループ
この写真は、大学のカフェテリア(食堂)でよく食べるランチセットです。
今年の8月後半からオランダに留学しています。
今回は英語のライティングの授業と、寮の友達と映画をみる会について。
英語の授業
正規の授業は週3回あるのだが、それとは別に英語自体の授業も受講している。
それは英語のライティングについての授業で、
アカデミック・ライティングとは何か、どのような構成にするべきかから始まり、
学術的な文章を書くための語彙や、文法などを学んでいる。
オランダに来てから一番不安だったのは、やはり「英語の授業についていけるかどうか」だったので、
この授業を正規の授業の他にとることにしたのが9月半ば。
10月から始まり、約二か月、週2回の授業を受けてきた。
この授業はエクストラコースなので、€330を支払う必要があった。
4万円くらいかかっているので、けっこういい値段です。
それなりに高いので迷ったのですが、これからの役にきっと立つだろうと思い受けることにした。
この授業の最終課題として、1500Wordsのレポートを提出する必要がある。
そこまで多くはないけど、やはりライティングそれ自体を教えている授業なので、基準がけっこう厳しい。
先生とのミーティング
今週月曜日、先生とミーティングをしてきた。
僕が提出した第一稿は1000Wordsくらいしかなく、引用の仕方とかも自信がなかった。
何より、語彙面でもあんまり自信がなくて、ミーティングに臨むまではめちゃくちゃ気が重かった。
朝の11時ごろに先生のオフィスへ行き、ドアをノックすると、
まだ他の学生を指導している途中で、「あ、ソーリーソーリー」と謝り外へ出た。
5分くらいして、「入ってきて」と言われて、どきどきしながら入室。
「怒られるかな…。完成度高くないし…。」と思いながら席へ着いた。
先生は、僕のレポートの間違いを直した画面を見せてくれながら、
先生:「まず、基本的には分かりやすく、構成もけっこううまく書けているよ。そのうえで今からいろいろ指摘していくね」
僕:「え、あんまり自信なかったのですが。文字数もすくないし、未完成なバージョンを提出してしまいました」
先生:「第一稿だからこんなのだよ。今から直していけばいいんだし、磨いていけばよりよくなるよ」
という会話があり、励ましてくれつつ、いろいろ指摘してもらった。
いきなり間違いをズバズバ言われるよりも、
このように一方で褒めつつ、間違いはしっかり指摘するという指導法は
あんまり自信のない僕にとってはかなりありがたかった。
最終版は、来週提出。
よりよく改善して、いいものを提出したいですね。
映画を見る会@寮
寮の友達に、「映画グループ入る?」といきなり聞かれ
映画好きな僕は、二つ返事で「いいね、入る入る!」と答えた。
Facebookに招待され、そのグループに入ってみると
どうやら、みんなで一本の映画を見て感想を言い合う会のようだった。
方式としては、
①各自が映画をオススメする
②各自が見たい映画に投票する(自分の推薦以外のもの)
③金曜日の夜に一緒に見て、その後、感想を言い合う
というものだ。めちゃくちゃ楽しそうだ。
友だちが推薦していた映画は以下の通り。
- Children of Men (『トゥモロー・ワールド』、アルフォンソ・キュアロン、2006年)
- Time(『絶対の愛』、キム・ギドク、2006年)
- Harold and Maude(『ハロルドとモード/少年は虹を渡る』、ハル・アシュビー、1972年)
- Prisoners (『プリズナーズ』、ドゥニ・ヴィルヌーヴ、2013年)
- Pulp Fiction(『パルプフィクション』、クエンティン・タランティーノ、1995年)
驚いたのは、友達が『ハロルドとモード』を勧めていたことだ。
僕の生涯ベスト10に入るくらい好きな映画なのだ。
思わずその友達に話しかけたが、ちょっと失敗した。
友だちはひとりで部屋にいて、携帯を見ているところで
名前を唐突に呼びかけると、めちゃくちゃびっくりしさせてしまった。
申し訳なかった。
「ハロルドとモード、好きすぎて4・5回は見た!」というと、「Nice!」と笑ってた。
あと、『絶対の愛』も見たことないので、いつか見たい。
韓国のキム・ギドク監督の映画で、「ヨーロッパで人気あるんだなあ」とか思ってたら
勧めてるのがキューバ人の友達でこれまた驚いた。
キューバではインテリ層に人気があるらしい。
あと、「小津安二郎は素晴らしいよね」と彼に言われて
「ごめん、クラシックなのは知ってるけど見たことないんだ…」と僕が言うと
「ありえない!見るべきだよ!」とちょっと怒られた。
彼とは、この前にも「禅カルチャーは素晴らしいよね」と言われ
「ごめん、あんま知らないんだ…」と答えて驚かれた。
小津安二郎、「古典として評価が固まっているのは知ってるけど、見たことない(いつか見よう)映画」リストのトップに位置してるけど
なんとなく気が進まないってのが、ここ三年くらい続いてるな。
これを機会に見てみるか。
年始は寒くて家にいる時間が多そうだし。
『プリズナーズ』は公開当時、友達と映画館で見てけっこう面白かった(というか怖くて後味悪かった)。『パルプフィクション』は最高の映画です。
投票の結果
『トゥモロー・ワールド』に決定した。
ちょうど見たことがなかったので、いい機会だ。
同じ監督の『ゼロ・グラビティ』は面白かったので、たぶん気に入りそうだ。
そういえば、映画館で同監督の『Arrival』が上映されていたので、それもみんなに言ってみよう。
【追記】間違ってました。『メッセージ』(原題:Arrival)は、『プリズナーズ』の監督作でした。なんにせよ、これもけっこう気になってる映画の1つではあります。
明日の夜が待ち遠しい。
あと、自分が驚かせてしまった友達が夜ご飯を作ってくれるそうで、それも楽しみ。
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寮の友達は、相変わらずこういうジョークを言いまくっていて、僕もだんだん対応できるようになってきました。
ポルトガル出身の女の子が、ナイジェリア出身の男の子にバナナを投げつけて笑い合っていました。けっこうきついジョークだなと初めは思ったけど、僕も含めてその場にいた人みんなが笑っていました。
【追記】その人だけを笑いものにしたのではなくて、お互いに人種とか民族ネタを言いまくって笑い合ってるんですね。政治家をネタにすることも多くて、ボリス・ジョンソン、トランプ、ベルルスコーニあたりがよくネタにされてます。
留学95日目:友人と再会
オランダに今年の8月末から留学しています。今回は、友人との再会について。
友人と再会
ドイツに留学中の友達が、来年の1月からうちの大学に半年間留学するということで、
彼女の友人とともに、見学というか下見にやってきました。
せっかくなので、一緒に夕食をたべることに。
以前行ったことのあった、ハンバーガーの美味しい店に行きました。
僕は、メキシカン・バーガーを食べました。
メキシカンというので、中には細かく切った野菜とか、タコスの具材ぽいものが入ってましたね。
あと、ナチョスとアボカドソースを絡めたものとかが付いてました。
フライドポテトも付いていました。
そうそう、あとフライドポテトは幅広くヨーロッパでも人気があるのですが、
特に、マヨネーズにつけて食べるのが人気なようです。
初めはケチャップをつけて食べていましたが、なんとなくこちらのマヨネーズは美味しく感じられるので、
最近はすっかりマヨネーズ派になっています。
あと、ビールも2本飲みました。
ひとつは、「トリプル」と呼ばれるアルコール度数の高いもの(8.5%)。
もうひとつは、店員さんにおすすめを聞いて頼んだもの。
オランダでは、オランダで作られたビールはもちろん、
ベルギーとドイツが近いので、各国のビールがかなりいろいろ飲めます。
僕自身、ビールは大好きなのですが、そこまでこだわりはないので
毎回、「おすすめはありますか?」と聞いて、店員さんに言われたものを頼んでいます。
最近のお気に入りは、「IPA」と呼ばれるビールですね。
フルーティというか、口当たりがとてもいいです。
甘いかというと必ずしもそうでもなくて、苦いものもけっこうあります。
とにかく、「味が強い」ビールなので、好みは分かれるかもしれませんが。
ヨーロッパで一番大きい(?)バーへ
ハンバーガーを食べ終えたのち、ヨーロッパで一番大きいと言われているバーへ行きました。
本当にそうなのかはわからないですが、たしかに相当大きかったです。
外見からいくと、3軒の大きなバーが並んでいるように見えますが、
中に入ると、実は3軒ともつながっていて、めちゃくちゃ広いんですね。
そこでは、ビールとカプチーノ(オランダで人気)を飲みました。
そのあと、僕は映画『ファンタスティック・ビースト』を見るために友人たちとは別れました。
街の事は(たぶん)けっこう気に入ってくれたようでよかったです。
何にしても、楽しい夜でした。
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自己紹介と、オランダ留学までの手続き等について
オランダ留学93日目:レポート課題
これまでは1テーマを設定して書いていましたが、それもだんだん面倒になってきたので、最近気づいたことや軽い日常を日記形式で書いていきます。
ペーパーの提出
授業は3つしかないのですが、それぞれかなり重い。しんどいです。
3つともペーパーが課されていて、筆記試験のようなものはないです。
2つが5000words、もう1つが6000‐7000wordsのレポート。
最終的な提出は1月末なのですが、それまでに多くの中間報告があります。
たとえば、10月末には、研究計画書の提出。
11月初~中旬には、教授と学生の前でプレゼンテーション。
その後、教授との個人面談を経て、12月23日(クリスマス前)に第一稿を提出。
このように、少しずつ修正を重ねながら、最終版を提出します。
しかも、最終提出のひと月前に、字数などの要件を満たした第一稿を提出しなければなりません。
日本の大学院でも、筆記試験のようなものはなく、レポートを提出しなければなりませんでした。
しかし、このように何度も面談の機会があったり、指導を受けるチャンスはあまりありません。
もちろん、大学院生なのだから、自分で計画して進めろということだとは思いますが。
ただ、僕個人としては、英語で読んで書いて…という過程自体がかなりしんどいので、何度も指導を受けられるのは非常にありがたいです。
今日も先生との面談があります。
こちらからアポイントを取れば、いつでも対応してくれるのでやはりありがたいですね。
感謝祭 Thakns giving day
昨日は、アメリカ伝統の祝祭日である感謝祭でした。
寮にあるキッチンでは、アメリカ人の女の子たちが一日中、パイなんかを焼いていて、何事かと思っていたのですが
話を聞くと、大々的なパーティを開くらしい。
1人5ユーロを払うと参加できるパーティのようでした。
参加しようかとも考えましたが、同じ寮にいる友達が夜ご飯を作ってくれていたので、それを食べることに。
半熟卵をのせた和風ボロネーゼ、とても美味しかったですね。
ちなみに、今日は感謝祭の翌日ということで、「ブラックフライデー」と呼ばれる日らしいです。
いろんなお店で20%オフのセールがやっているようです。
ちなみに、オランダの消費税は20%らしく、消費税分がオフということですね。
というか、そんなに消費税高いんだと改めて驚きました。
5%から8%にした結果、消費もかなり落ち込んでしまった日本とは違いますね(個人的には増税延期よりも減税するべきだと思っています)。
参照:http://mainichi.jp/articles/20160917/ddm/008/020/047000c
というか、オランダが高すぎないか、と思うのですが、どうやって比較すればいいのかよくわかりません。
たぶん、消費税そのもののパーセンテージだけで比較してもあまり意味なさそうです。
ただ、感覚として、けっこう高いんだなあと感じるというだけでした。
今日はこのあたりで。今後は軽い日記を書いていきます。
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この記事は1か月前ですが、いまだに映画館で上映されていますね。
イギリスはとても近いので、やはり英語圏の文化として人気があるのでしょうね。
TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」はいいぞ
今年の9月からオランダに留学しています。
今回は留学とは何の関係もありませんが、オランダに来てからも楽しく聴いているラジオについて書いていきます。
古くて新しいラジオ
最近感じてるのは、ラジオがいま改めて面白いということだ。
もっとも古いメディアの一つである、ラジオ。
「若者のラジオ離れ」なんて言われてるのかは知らないが、年長世代が好むメディアであることは間違いない。
ネット動画サービスやウェブメディアに対して、伝統的な旧来型のメディアであるラジオ。
しかし、改めて考えてみると、ラジオというメディア特有の良さが存在することがわかる。
ラジオの良さ
いくつか、ラジオの良さを並べてみます。
- テレビに比べてじっくり話せる
- かといって、だらだらとはしない
- 視覚情報がないぶん、「議論」が重視される
- 実は、速報性にも優れている
まず、テレビに比べてラジオは時間の使い方がゆったりしている。
一
つのテーマについて、かなり長い時間話すことができるのだ。
ただ、そこまでだと、ニコニコ動画等と変わらないだろう。
ここで問題なのは、長いことそれ自体は質を保証しないということだ。
むしろ、質の低下を招きかねない。
例えば、だらだらと長いニコ生を集中して見ることは疲れる。
長いからっていいわけではないし、むしろ内容が薄くなることもある。
一方、ラジオは、放送時間は長いといえども、枠は決まっている。
今回オススメするTBSラジオ「Session22」は大体1時間ほどである。
この絶妙な長さが、有意義なディスカッションを成立させていると思う。
テレビより長く、ニコ動より短い、絶妙な長さ。
このあたりに、ラジオしかない良さがあるのかなと思う。
あと指摘しておきたいのは、速報性にも優れている点だ。
ラジオだから遅いなんてことは全くないし、むしろスピード感を感じることが多い。
荻上チキ Session22は凄い!
「荻上チキ・Session-22」というTBSラジオの番組がある。
大げさではなく、現在の日本のメディアで最先端を走っていると思う。
ここ3年くらいすっかりヘビーリスナーだ。
TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」では、一線で活躍する専門家をゲストに呼び、毎回1つのテーマで約1時間も議論している。
話題は多岐に渡り、政治・経済はもちろん、映画の話題も多いし、プロ野球特集などもあって楽しい。
で、一番の聴きどころは、何と言っても高いレベルの「議論」が成立しているところである。
これはテレビではなかなか拝めるものではない。
というか、どこに行っても聞けないようなハイレベルな議論が展開されていることが多い。
たしかに、テレビのニュース番組などでも「議論」を聞くことはできるが、大抵は怪しい専門家が根拠の乏しい自説を開陳するに留まってると思う。
NHKの「時論公論」や「クローズアップ現代」などはとても勉強になるが、あくまで正確な情報を得るためのもので、ヒリヒリした議論を聞けるような番組ではない。
その点、「Session-22」では一級の専門家達が、一般リスナーに対してもわかりやすく説明してくれるし、決してレベルを落とさずに高度な議論を行っている。
「Session-22」を聞いていると、「分かりやすい説明だな」と「う~ん、判断が難しい議論だな」という感覚が交互に襲ってくる。
あるテーマの番組を聞き終わると、「勉強になったな」と思うと同時に「もっと勉強しないといけないな」と思う。
こんなに知的刺激の強い番組は、僕にとって「Session-22」しかない。
というか、大学の授業にもあるか微妙かも。
あえて例えると、本当はお金を払うべきレベルの座談会を、毎回無料で聴けるという感じかな。
日本民間放送連盟賞、受賞おめでとうございます!
今回あえてこんな記事を書いたのは、他でもない「荻上チキ・Session-22」が日本民間放送連盟賞を受賞したからだ。
2年連続の快挙らしい。
サイトに掲載された写真を見て、「この人たちあの番組を作っているんだ…」と素直に尊敬の念がわいてきた。
これからも最先端を突っ走ってほしい。
ちなみに、放送は上のサイトで聴けますし、Youtubeにもたくさんアップされているので、ぜひ興味のあるテーマを聴いてみてください。
差別的(?)な「偏見ジョーク」がオランダで人気な理由
今年の9月からオランダに留学しています。
今回は、こちらオランダで人気のジョークについて考えたいと思います。
題名は「オランダ」としましたが、「国際社会」と言い換えても、割と通用するかなとは思います。
一応初めに書いておくと、オランダ人が差別的だとかそういうことを書こうとしているのでは全くありません。
オランダに来て、大学のオランダ人の友達や、寮で共に生活する友だちと話していて、
それだけ聞くと差別的な「偏見ジョーク」あるいは「ステレオタイプなジョーク」がやたら多いことに気づきました。
その理由について書いていきます。
寮で人気の「鉄板ネタ」
僕が住んでる寮は本当に国際色豊かで、この前ふとキッチンにいる人を数えてみたら、15人中14人が違う国から来ていました。
そんな国際色豊かな寮の中では、いわゆる「鉄板ネタ」があります。
その「鉄板ネタ」とは「人種」や「民族」に関するジョーク。
あえて偏見に満ちた言動をしたりジョークを飛ばすことで、「You're a racist!(お前レイシストやん!)」と言って笑い合います。
価値観の共有と、その確認
このジョークは、「多様性を認めること」とか「差別はいけないよね」という価値観を、お互いに共有しているからこそ可能なんだと理解していたが、
最近新たにその意味を考えていました。みんなやけに好きだから。
僕が最近思いついたのは、この種のステレオタイプなレイシストネタは、互いにそれらの価値観を確認する行為なのではないか、ということです。
あえて「イタリア人はこうだよね」とか面白おかしくモノマネしてみたり、
それに対して'You're a racist!'とツッコミを入れるのは、
そのようなステレオタイプをバカバカしいものとしてお互いに笑っているからこそ可能です。
トランプはある意味「大人気」
この意味で、こちらオランダではドナルド・トランプは「大人気」。
寮の中でも、トランプとヒラリーの演説は一大コンテンツで、みんな話題にしています。
「またあのトランプが馬鹿なことを言ったよ!」てな感じ。
これも、「トランプの発言は許せない」という大前提があって
そんなことは当たり前だからこそ、直接反対したり抗議したりするのではなく
ジョークとして笑うことで馬鹿にしようという態度です。
価値観の共有を常に互いに確認する
そして、これらのステレオタイプジョークは、
ある種のリベラルな価値観(「差別よくない」「多様性だいじ」)を共有していることを互いに確認する意味があるのではないか、と最近考えています。
価値観の共有が大前提になっているため、共有していないと笑うことができません。
そのジョークを言えること、ツッコミを入れられること、笑えることは、それ自体が価値観の共有を意味しています。
常に「ジョークを笑えること」を確認し、お互いに価値観を確認する。
そんな意味があるのではと最近考えています。
これからさらに深めて考えていきたいですね。
以前、こういう記事も書きました。この手の話題について考えることが多いです。
オバマ大統領について
今年の8月末からオランダに留学しています。今回はオバマ大統領について書かれた記事を読んで
いろいろ考えたことを書きます。
(寄稿)オバマとは何だったか 慶応大学教授・渡辺靖:朝日新聞デジタル
理想と現実
その一方で核兵器削減には慎重だった。
シリアでの化学兵器使用に対しては軍事力を使えなくて弱腰外交と批判され、その一方で地上軍を投入しない代わりにドローン攻撃に頼ったり。
アジアへのリバランスを訴えつつも、東アジアの安全保障環境はあまり改善されず。
バランスを取るのは難しい…
オバマケアを頑張って導入しようとしても、
共和党を主体とした議会に猛反発を受け、予算が通らなかった。
この記事にあるように、オバマの政治は、
理想と現実のバランスを取るのはこんなに難しいんだな…と実感させられた。
共和党の保守派からは反発されまくり、
一方の民主党リベラル派からも中途半端と揶揄され… という状況を見てかわいそうになること多かった。
あと印象的だったのは、大統領ってできること本当に限られてるんだな、ということ。 外交では、イランとの合意やキューバとの国交正常化など一見輝かしい成果は多かったように思う。
ただ、国内事項(銃規制、オバマケアなど)については、
議会の執拗な反発に最後まで泣かされてしまったんだなという印象が強い。
日本のような議院内閣制では、議会の第一党(立法)=内閣(行政)だから、大統領制とはちょっと事情が違う。
「日本の首相は就任直後、その華々しさや権限の大きさから、アメリカの大統領を羨ましがる。しかし、やがて大統領の方が日本の首相を羨ましがるようになる」というジョークを聞いたことあるが(中曽根・レーガンのロンヤスだったかもしれないが、よく覚えてない)、これはその文脈である。
議会中心へ…?
アメリカ議会関連のニュースを聞いたとき、大統領制って大変だな〜とよく思った。ただ、大統領がこれほど政治の中心になったのは割りと最近という話もあるし、議会を中心としたアメリカ政治へ戻っていってるのかもしれない。よくわからん。
理念の大切さ
「大統領の弱さ」が強烈に印象に残ったオバマだけど、やはり言葉の強さや大切さ、理念を訴えたことの重みは心に残っている。感動させられた人も多かったんじゃないだろうか。
オバマが「Yes, we can. Change!」なんて行って華々しく登場したのはとても印象的で、やはりミーハーな自分はオバマのスピーチを聞いてみたりしたものである。
この記事にあるように、「共和党のレーガン」のように、「民主党のオバマ」として人々が懐かしむ対象になるんだと思う。
同性婚が合憲という連邦裁判所の判決が出たときのオバマの写真、とてもチャーミングだったな。
オバマがアメリカにあるモスクに初めて訪問した時の演説、感動してしまって泣いてしまったもん(https://youtu.be/5ZugmaB_E4I)。
だめだ、すでに懐かしんでしまっている。。